松陽vs沖永良部
森岡(松陽)
森岡、新フォームに手応え
昨秋、鹿児島松陽初の4強入りの原動力となった左腕のエース森岡修一は、この冬場で新フォーム作りに取り組み、心機一転今大会に臨んでいる。
昨秋までは、速いテンポでリズム良く投げ込むのが持ち味だった。しかしテンポは良いが「力み過ぎて制球が安定ない」(森岡)という欠点があった。今は、しっかりと下半身で踏ん張り、相手の打者を見てから投げている。これだとテンポは遅くなるが、打者との駆け引きもできる分、安定感が増している。この日の沖永良部戦は6回を投げて、散発3安打、9奪三振、1死球と危なげない投球で試合を作った。「まだ変化球が高めに抜けることがあるけど、四球も出さなかったし、上出来」と新しいフォームに手応えをつかんだ様子だ。
そしてもう一つ、この冬取り組んだのがけん制。これまでけん制は、間合いを取るためだけにやっていた。昨秋準決勝で神村学園を相手に足で揺さぶられ16失点を喫した屈辱をバネに、「走者を刺す」けん制の練習に取り組んだ。この日は一塁けん制で一つアウトを取り、こちらも練習した成果を試合で発揮した。
3回戦の相手は鹿児島実。ノーシードとはいえ、昨夏の鹿児島市内大会では敗れており、実力は明らかに格上だが、森岡は「相手の打者1人、1人をしっかり見て、全力でぶつかっていきたい」と静かな闘志を燃やしていた。
川畑(沖永良部)
「うちらしい試合できた」沖永良部
一方、無念のコールド負けだった沖永良部だが、酒匂道明監督は「二回以降立ち直って、うちらしい試合ができた」と納得顔だった。
初戦に続いて背番号11の左腕・川間正明が先発するも、制球に苦しんでピンチを広げ、いきなり6点を失った。厳しい展開だったが「2番手以降の投手が気持ちを切ることなく踏ん張ってくれた」(山田力也主将)。2番手の右横手の久保遼河がつなぎ、四回からは、ひじ痛で投球練習もほとんどできなかったエース川畑龍二が満を持して登板した。三、五回に1点ずつ失うも、六回無死二三塁のピンチをしのいでコールドを阻止するなど「しのいで守って最少失点で切り抜ける」(酒匂監督)野球ができた。
初戦の鶴丸戦は九回二死からの逆転サヨナラ勝ちし、この日はシードを相手に序盤の劣勢を立て直すことができた。山口主将は「夏までにもっと成長して、1日も長くこちらで野球ができるチームになりたい」と更なる飛躍を誓っていた。
(文=政純一郎)