日大三vs徳島商
3年生にとって
先発した背番号14の左腕・関悠平(3年)と6回からマウンドに上がった背番号11の中野将(3年)が、お立ち台に指名されると「何でお前らかよ」と二人を冗談めかす日大三ナインの声がダッグアウトの裏からが聞こえてきた。夏の西東京大会1回戦で最終回の1回を投げて以来の登板となった中野は「試合前から先発が関で、二番手でいくぞと言われていたので、流れを呼び込もうと思って投げました」と1点リードの場面で登板し、3回を被安打1の無失点に抑え、最終回の吉永健太朗(3年)に繋ぎ、勝利を呼び込んだ。
一方、3連投となった徳島商の龍田祐貴(3年)は、日大三の強力打線を相手に被安打6に抑え、敵である日大三の小倉全由監督をも絶賛させるほどの見事なピッチングを披露した。試合後、報道陣から最後の公式戦を終え、どうですかとの問いに「日本一の打線をどうやって抑えるかを考えて頭が疲れましたし、体も疲れました」と言いながらも最後には「やり切りました。悔いはない」ときっぱり。それはこんなところからも龍田祐の気持ちが見てとれる。4回の第2打席目で自打球を左足の脛(すね)に当て、足が腫れ上がった状態で投げ続け「(投球時に)体重が左足に乗ったときに痛かったですけど、そんなこと(表情)は、見せられませんからね」というように並々ならぬ気持ちは、敵味方関係なく十分に伝わっていたことだろう。
日大三、徳島商、ともに6安打で1点を争う好ゲーム。3年生にとって10月まで続けられた高校野球で、それぞれが得たものは大きい。
(文=編集部:アストロ)