立花学園vs桐蔭学園
立花学園・鈴木邑君
集中打で粉砕、立花学園が夏に続いて8強進出
前日の「タチバナガクエン」対決は、途中雨による中断が二度もあって、都合4時間56分という長い試合になった。そして、橘学苑を制して勝者となった立花学園は、前日の6連打とまではいかなかったものの、この日も集中打を発揮。桐蔭学園を圧倒する形で、夏に続いて秋もベスト8へ堂々の進出を果たした。
神奈川県の西湘地区では甲子園に出場するチームがないので、少なくとも、「本気で甲子園を狙えるチームを作りたい」という気持ちで、かつて1997年春に横浜商を率いて甲子園出場を果たして、その後一時現場を離れていたが、横浜創学館のコーチなどを経て、この春に就任した菅野敦史監督の意図が徐々に反映されてきているチームになってきたともいえそうだ。
コールドゲームにはならなかったものの、それに匹敵するようなスコアでの会心の勝利だった。
菅野監督は、
「今日は、ミーティングでは打撃については少し難しいことを言ったんですよ。それを、少しはわかってくれたのかなぁとも思います。というのは、(桐蔭学園の)投手はインステップしてくるから、かなり打ちにくくなるけれど、そこを指示しました。4回、初安打が出たところで2点ですね。6回は、追加点が欲しいところで4点。不思議と安打が続きましたね」
と、打撃の爆発力に関しては、指揮官も驚くくらいのものだった。
立花学園・荒川君
1巡目は桐蔭学園齊藤大投手の打者の内側に入ってくるキレのいい球に手こずっていたが、4回、2番今井君が初安打すると火がついた。
続く、鈴木邑君も続くと、鈴木裕君は死球で満塁。何か仕掛けてくるのかと思われたところだったが、5番小林君は中前へはじき返してこれが先制打。2者は三振したものの、8番遠藤君がしぶとく中前打して、この回2点。無死満塁で結局1点のみだったというのと、2点入ったというのは、その後の両チームの選手に対しての意識としては相当異なるはずだ。
先発の荒川君が何とか5回を抑えていた立花学園は6回、6番松田君が内野安打で出ると、バント野選と遠藤君のバント安打でまたも無死満塁。9番荒川君のところで代打足立君が中前へはじき返して貴重な追加点。なおも、暴投と、1番西田君の2点中前打でこの回4点が入った。
このリードを、前日ロングリリーフした井草君が凌いで、走者を出しながらも、大事なところでは低目へ丁寧に投げ込んで桐蔭学園打線をかわしていた。
立花学園は9回にも、再登板となった齊藤大君を死球と失策絡みで再び攻めて、松田君、水戸君の連続長打などでさらに3点。終わってみたら9点差となっていた。
それにしても、桐蔭学園が、これほどまでに完敗を喫するというのも驚きだった。ただ、強豪校といえども、わずかなほころびからこうした脆さを露呈してしまうというのも、特に、この時期のチームの特徴と言えるのかもしれない。
立花学園は秋季大会からユニホームもニューデザインとなったが、グレー地にスクールカラーでもあるオレンジを基調として文字を模ったものになったが、この新ユニホームで公式戦負け知らず。この秋から、新生立花学園はさらに大きく飛翔して、県内の強豪校にとっては、また一つ現れた、脅威の存在になりそうな予感を漂わせている。
(文=手束仁)