試合レポート

高陽東vs盈進

2011.09.17

高陽東vs盈進 | 高校野球ドットコム

サヨナラ勝ちを喜ぶ高陽東ナイン

高陽東がサヨナラ勝ち!盈進の好投手・谷中を攻略

140キロ以上の直球を繰り出す盈進の谷中文哉(2年)を相手に怯むことはなかった。直球に的を絞った鋭いスイングで高陽東盈進にサヨナラ勝ちした。

雨の影響で試合開始が約150分遅れた上に、時折晴天になったことで蒸し風呂状態になったグラウンド。それでも、高陽東の集中力は最後まで切れなかった。延長12回に先頭の小路健太郎(2年)の右中間への二塁打と相手のバッテリーミスで無死3塁。岩佐純一(1年)が狙ったのは直球だった。二遊間を打球が抜けていくと、自然にガッツポーズが飛び出した。好投手を攻略してのサヨナラ勝ちに、集まってくる選手の表情も笑顔で満開だった。

「絶対に決めるという気持ちで打席に入りました。いろんな練習をしてきたことがいい方向に出ました」

岩佐は笑顔で振り返る。「いろんな練習」とは、まさに谷中対策だった。2回戦終了後から約1週間、高陽東は直球対策に明け暮れた。

「打撃投手に前から投げてもらったり、マシンを前の方に置いたりして目をならしました」と岩佐。サヨナラの場面でも直球の勢いに負けることはなかった。バットを振り抜いた打球がチームを8強に導いた。

得点も長打力から生まれた。4回の原山純(2年)、8回の上野勇仁(2年)とソロを2本放った。「球場の狭さに助けられた。長打のチームではない」と折田裕之監督は苦笑いする。一方で直球に対するアドバイスも実った。「直球の勢いを利用して打ちなさい。力負けしなければ、いつかは攻略できる」。各打者の意識がチーム5本もの長打につながった。実際、スイングスピードの速い打者が多いのも特徴だ。夏場にスイングの量などを増やした成果を本番で発揮している。

投手陣の切り替えも、高陽東にとって1つのポイントだった。先発の岡野翔也(2年)の調子がよくないと見ると3回途中で見切り、2番手に久保秀嗣投手(2年)を送り込んだ。球質の重そうな直球で盈進打線の勢いを止めた。「岡野は球のキレがなくて、もたないと思った。久保は細かく制球できるタイプではない。思い切っていくことだけを指示したのがよかったのでしょう」。指揮官の判断も冴え渡った試合だった。

あと1つ勝てば、チーム4年ぶりの中国大会出場となる。県内屈指の右腕を打ち崩したことを武器にして、高陽東は久々に大きな舞台へ向かっていく。

(文=中牟田 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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