試合レポート

水戸葵陵vs東海大浦安

2011.05.15

水戸葵陵vs東海大浦安 | 高校野球ドットコム

水戸葵陵・長島

大爆発

2試合目は地元・千葉4位の東海大浦安と茨城2位の水戸葵陵の対決。
1回の表、1番橋本がセンター前ヒットで出塁。二死二塁となって4番鈴木塁が低めに落ちる変化球を拾いセンター前へ落とすタイムリーヒットで1点を先制する。
その裏、東海大浦安は1番酒井がライト線を破るスリーベースで出塁すると2番澤のタイムリーで同点に追いつく。

5回の表、水戸葵陵は1番橋本が左中間を破る三塁打で攻撃の口火を切ると二者連続四球で無死満塁。
先ほどタイムリーヒットを打っている鈴木塁にまわった。
ここで東海大浦安は溝口に交代。低めに落ちる変化球だった。鈴木塁は上手く溜め込んで救い上げてレフト線を破る走者一掃のツーベースで貴重な追加点を入れた。これで鈴木塁は4打点。7回の表に2点を追加し、8回の表、先頭の飯塚が直球を捉えた打球はレフトスタンドへ飛び込むホームランで7点目。

そして3番兵藤が二塁打で出塁し、ここまで4打点の鈴木。2-2からであった。外角ストレートを思い切りフルスイング。

打った瞬間に本塁打と確信させられる素晴らしい当たりであった。
4番の一発でコールドの点差をつけた。そしてその裏、長島が締めてゲームセット。
水戸葵陵が2回戦に進出した。


水戸葵陵vs東海大浦安 | 高校野球ドットコム

鈴木塁(水戸葵陵)

水戸葵陵vs東海大浦安 | 高校野球ドットコム

まさに大爆発であった。
水戸葵陵の主砲鈴木塁(右/右 182センチ83キロ 左翼手)が5打数3安打6打点と大当たりを見せた試合であった。
県大会準決勝の藤代戦を見ていた私にとっては驚きであった。県大会の彼は当たれば大きいが、確実性に欠ける打撃スタイル。特に変化球の対応に脆さを見せており、藤代の鵜沢の鋭く落ちるスライダーを投げられ空振りを繰り返していた。しかしこの試合ではヒット3本のうち2本が変化球を捉えている。関東大会まで何か変化があったはず。関東大会に向けてどう取り組みを変えたのか聞いてみた。

「今までは直球中心を打ち返す打撃でした。でも自分が直球に強いということを察知してみんな変化球中心で投げてくるんですよね。今まで直球しか打っていなかった自分に甘さがあったと思います。関東大会まで変化球とストレートを打つ練習を交互に行いました」

スラッガーとして素晴らしい才能を持つ鈴木塁。だが気持ちよい球を打つことで相手のことを意識していなかった。

しかし県大会の不振を省みて変化球を打つ練習を積み重ねた。その結果がすぐに表れ、第1打席は低めに落ちる変化球を拾ってセンター前ヒット、第3打席には低めに落ちる変化球をしっかりと溜め込んで、踏み込んだ足を崩さずに、そして救い上げるように捉えた打球はあっという間にレフトフェンスに到達する当たり。

そして第5打席はストレートを思い切り引っ張り高校通算35本塁打を記録した。打ったのはストレート。だがストレートを呼び込んだのは今まで変化球を打ち崩してきたからである。
自ら課題を克服するために取り組んだ成果が表れた一発。
それは今までの本塁打の中でも意味のある一発ではないだろうか。

次は日大三。鈴木は「エースの吉永健太朗と対戦したいです」と吉永との対戦を熱望した。明日の戦いが見物である。

(文=編集部:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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