成章vs豊丘
木田君(成章)
成章、冬の成果を示す振り切るパワーを披露
新チームが出来た直後の秋季大会で見たチームを、ひと冬越えてどこまで進化しているのかということを見られるのも、春季大会の楽しみの一つといってもいい。
特に、3月のこの時期のブロック予選などでは、ベンチとしてもいろいろ試してみたいこともあるだろうし、そんなトライも含めて、その成果を見てみたいというのも、見る側としては興味のあることである。
愛知県東三河の強豪で、08年春には21世紀枠代表校として出場し、甲子園初勝利も挙げた成章の糟谷寛文監督は、冬の間のトレーニングに関しては、「多少、荒くてもいいですから、パワーをつけることを目指してロングティーなどもやっています。極端なことを言えば、(中軸であれば)片手打ちでもいいからスタンドへ放り込めるくらいのパワーをつけさせたい」という思いで取り組んできている。
そのために、渥美半島という地理的要素を生かした山登りのランニングや、
地引き網を使って下半身の安定を作っていくトレーニングなどを導入しながらパワーアップを目指してきた。
それを示したのが、三番木田君で、5回には左翼へ文句なしの一発を放った。これで火がついた成章打線はさらに五番原君の左中間二塁打や、続く林君の中前打などで好機を広げ、代打竹内君が一塁手のミットを強烈にかすめていくタイムリー打で二者を迎えるなどして、4点を上げて試合の方向をほぼ決めた。
田中君(成章)
7回にも1点を加え、8回には途中から出ていた高橋君の二塁打などでさらに2点を追加した。高橋君だけではなく、成章は代打屋途中から交代して入った選手たちがそれぞれ、自分に与えられた機会を生かしてきっちり結果を残した。
このあたりも、冬のトレーニングをしっかりと重ねてきたという成果を示していたとも言えるのだろう。
こうした気持ちが、心身両面でチームの質を上げていくこと似るのだろうと思う。
結果としてはコールドゲームとなってしまったものの、豊丘もチームとして、自分たちのやってきたことは今の段階での力は示したという印象だった。
もちろん、ミスはあったかもしれないし、思惑通りでなかったこともあったであろう。
それでも4回に、成章の先発田中君の制球が不安定になると、そこに突け入って2点を返して1点差とした。
プレーも、一つひとつを大事にしていこうという姿勢は決して成章に負けていなかった。
(文=手束仁)