木更津総合vs専大松戸
水浸しのグランド
木更津総合の角張投手、雨中でも好投で関東大会進出
試合開始から降り続いていた雨は、一時的に小康状態になったときもあって、試合そのものは進行できたのだが丁度5回を終わった段階で一気に降り出した。
ここで、試合そのものが中断することになる。
ただ、この段階で7―0というスコアであと2イニング終了すればコールドゲームが成立するというスコアになっていただけに、大会本部としては、このまま中止にしてしまうのか、継続をさせていくのかという判断は難しいというのは正直なところだろう。
結局、いくらか雨が小降りになった頃あいを見て砂入れなどの作業をして再開した。
30分以上の中断で、しかも依然として雨が降り続いている状態である。
試合を早く成立させたい木更津総合は6回、相手の攻撃を何とか抑えると、その裏はポンポンと打って三者凡退。
そして迎えた7回。もはやグラウンドは水浸しで担保のような状態になっていたが、ここで試合を止めるわけにもいかないような状況になっていた。
専大松戸としては、気持ちの中に雨でノーゲームとなることを願っていたというところもあったというのも正直なところであろう。
そんな思惑の微妙な駆け引きもあったかもしれない。
ゴロは転がらない状態で、失策が出るのも仕方がないし死球もあった。
一つのアウトを取るのが相当厄介な状況になっていることだけは確かだった。
打席では、選手が足で水をかき出す動作を繰り返す。
もはや、野球をやれる状態ではなかったが、それでも7回だけは行ってしまおうということも明らかだった。
上沢君(専大松戸)
ただ、進行しても中断しても、両校の関係者からすれば、どちらにせよ何らかの不満が出るのは仕方のないところだろう。
そんな中、木更津総合の角張君は、1球ずつタオルでボールにかかる雨粒を拭き取りながら必死で投げて、最後は捕飛に打ち取り、水野君が雨をまともに顔面で受けながらもしっかり捕球した。
この段階で、「試合規定2」の、「降雨、日没等の天候状態によるコールドゲームは、7回完了、もしくは7回表終了とする」に当てはまり試合は成立した。
実際、これ以上の試合続行は無理な状態だった。
それでも、再度グラウンドを整備しにかかったが、それをあざ笑うかのようにさらに雨が強く降り出した。いくらかすっきりしないところもあったのは否めないが、海保球審は試合成立を宣告した。
結果は結果である。
専大松戸の持丸修一監督は、「11安打と3安打では勝負になりませんよ。私の中では降雨コールドではなく、普通のコールド負けだと思っていますから、雨云々は関係ないです。角張君のボールになっていくスライダーに手を出すなと言っていたのに、手を出して空振りしたり打たされたりということでしたから」と、結果を受け止めていた。
ただ、上沢君という県内でも屈指の本格派右腕がいるだけに、「もう一つ上の段階(関東大会)に進んで試したかった」という気持ちも本音であろう。
角張君(木更津総合)
雨でも、気持ちを維持した角張君が好投した木更津総合だが、角張君はつい2日前の試合では立ち上がりに8点を失うという乱調ぶりだった。
五島卓道監督は、それから気持ちを切り替えられたことを高く評価していた。
「7回の2失点は、あの状況では仕方がないですよ。辛抱してよく投げてくれました。(角張投手は)1年生から投げていますから、新チームになって投手を中心として守れる野球が出来つつあると思います」と語っていた。
とはいえ、この試合では、初回にいきなり永濱君が三塁打して暴投で生還して、上沢君に対して「打てるぞ」という認識を持たせた。
それが、3回に爆発して森君、郡君ら中軸が鋭くはじき返して3点を加えて攻略することにつながった。雨で、指のかかりも足場も悪かったということもあったかもしれないが、それ以上に鋭い振りで食い下がった木更津総合打線はやはり鋭かった。
(文=手束 仁)