市立川崎vs生田
投手戦を制した片山投手(市立川崎)
両投手が持ち味を出した投げ合いは、ミスの出た生田が泣く
この時期の新人戦は、投手が好投して踏ん張れば踏ん張るほど、ちょっとした守りのミスが明暗を分けることが多い。この試合は、まさにその典型となってしまった。
生田の吉倉君はスライダーが得意球で鋭い変化で打者を幻惑する。ストレートもスピードがあり、カーブとのコンビネーションも非常にいい。しかし、夏は三塁手として出ていた小川君が捕手にコンバートされて早々ということもあってそれに対応していくのに苦しんだ。結果、4回には降り逃げと捕逸などで進んだ走者に対しての悪送球で生還を許す。6回無死一二塁から併殺崩れの悪送球の間の得点と、さらに二塁盗塁に対して悪送球で三塁走者が帰るという形で市立川崎に得点が入っていった。
吉倉君としては4失点のうち、自責点は1という結果だったが、それらを含めて次へのテーマとしていってほしいと思う。
何とか対応していこうという小川捕手の身体を張ってのプレーもあったが、スライダーの鋭さが味方の捕手をも幻惑していたという皮肉なことになってしまった。野球では捕手が一番難しいポジションといわれる。進学校としても評価の高い生田だけに、学習能力も高いはず。小川君としては、これから学んでいくべきことがいっぱいあるだけに、こうした一つひとつを自分の糧にしてもらえればと思う。
市立川崎の片山君は1年生だが、周囲の上級生に引っ張られる形で低めへ伸びのある球を投げ込んでいた。前日の川崎北との試合では力みもあってやや高めに浮いていたということだが、この日はしっかりと低めにコントロールされており、走者を出しても慌てることなく、投球にもさほどブレはなかった。
市立川崎はこの4月に橘から藤田龍清監督が、高津から連盟理事も務めている野田克之部長が同時に異動してきて指導体制が強化された。バレーボール部や剣道部が男女ともに全国レベルだった橘から異動してきた藤田監督は、「ここは来年創立100周年にもなりますし、学校としても『野球部頑張れ』という形で支援していただけています。将来的には中高一貫校としての体制もあります。そこへ向けてもいい結果を残したいと思います」と意欲的だ。
今後は、中高一貫校として進めていく中で校舎増築などがありグラウンドの問題なども出てくるだろうが、「グラウンドがなくて、週末の遠征は橘時代から慣れています」(藤田監督)と、さほど気にしていない様子だ。何はともあれ、まずはこの秋、県大会に進出して県下に存在を示したいという思いである。
(文=手束 仁)
[:addclips]
[:report_ad]
生田 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
市立川崎 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | × | 4 |
生田:今岡、吉倉―小川 市立川崎:片山―木村