試合レポート

広陵vs如水館

2010.07.29

2010年07月28日 マツダスタジアム

広陵vs如水館

2010年夏の大会 第92回広島大会 決勝

一覧へ戻る

有原が好投!

故障明けの有原が好投!広陵野球の幅を広げる新戦力も

2年連続同一カードによる決勝戦。広島広陵がリベンジを果たし、2年ぶり20回目の甲子園を決めた。センバツ4強右腕・有原航平投手(3年)が、被安打4安打、無四球完封。多彩な攻撃と抜かりない守備力の高さも見せつけた。

「有原が、大会前にひじを痛めまして。万全ではない中で、よく投げました。甲子園までゆっくりさせてあげたいです」。

優勝インタビューの中井哲之監督の言葉に、耳を疑った。有原のピッチングが、けが明けとは思えぬ内容だったからだ。1試合平均9得点の

如水館

を相手に、カーブでカウントを取りながら、常時130キロ台後半のストレートで攻め続けた。最終回の126球目に最速143キロもマークした。3ボールになったのは4度だけ。見事な無四球完封だった。
6月20日の

大阪桐蔭

との練習試合を最後に、約2週間ノースロー。初めてのひじ痛に動揺し、「珍しく本人から」(監督)、痛みを訴えてきた。

「ストレートを投げるときが一番痛かった。大事な大会前なのに黙っていたら、いつか迷惑をかけると思って、言いました」(有原)。
後の検査で骨に異常はないと知って一安心。今大会初登板は21日の3回戦。以降、リリーフを中心に少ないイニングを投げながら調整してきた。大一番の今日が初完投だった。
「今は痛みはありません」(有原)。
「今日は痛みの怖さも無くなって投げていましたね」(監督)。
 福田周平主将(3年)は「甲子園ではもっと有原を援護したい」と、力強く語った。

 点差は2点。それ以上に差を感じる試合だった。

広陵は簡単に1アウトを与えない。印象的だったのが4回1死一塁。打席の渕上真遊撃手(3年)は、最初から送りバントの構えだ。ところが、ボール球を2球連続で見送った。いずれも、ストライクゾーンから大きく外れるような球ではなかった。それでも低姿勢でしっかり見極めた。そしてカウント1-2からの4球目、ヒッティングに切り替える(ファール)。エンドランだった。如水館の内野手は、この揺さぶりに中間守備。5球目、追い込まれたこともあり一走が盗塁を仕掛ける。このように、わずか1打席の中でありとあらゆる攻めを見せて、相手にプレッシャーをかけていく広陵。先制点もエンドランでもぎ取ったもので、5回には2死から徳田真優三塁手(3年)がセーフティ(内野安打)でチャンスを作っている。

 攻撃だけではない。8回の守備だった。無死一塁で、

如水館

の森兼堅二捕手(3年)の打球は丸子達也一塁手(2年)の前へ。ところが、併殺を狙った丸子の送球が逸れ、渕上が二塁ベースから3歩ほど離れて捕球。誰もがオールセーフだと思った。すると、渕上。一塁走者がスライディングの勢いでベースから一瞬離れたのを見逃さなかった。すぐにタッチアウト。走者を含め

如水館

側が離れていないとアピールするのが、分からなくもなかった。それぐらい、わずかな離塁だったからだ。

 渕上は、センバツの後に初めてベンチ入り。守備力を評価されてレギュラーも奪った。7番打者ながら、今大会18打数8安打。前述のような攻めもできる嫌らしい選手だ。新戦力の台頭が、広島広陵を一回り大きくさせている。

(文=矢島 彩

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.02

【茨城】常総学院、鹿島学園、水戸一、つくば秀英が4強入り<春季県大会>

2024.05.02

激戦必至の春季千葉準決勝!関東大会出場をかけた2試合の見所を徹底紹介!

2024.05.02

【長野】松商学園、長野日大、東海大諏訪などが県大会出場へ<春季県大会支部予選>

2024.05.02

【四国】高松商、33年ぶりの決勝進出の立役者は茨城の強豪シニア出身の1年生右腕!<春季地区大会>

2024.05.02

春の神奈川準決勝・東海大相模vs.横浜の黄金カード実現! 戦力徹底分析、試合展開大胆予想!

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【鳥取】鳥取城北が大差でリベンジして春3連覇<春季県大会>

2024.04.28

【長野】上田西、東海大諏訪、東京都市大塩尻が初戦突破<春季県大会支部予選>

2024.04.28

【滋賀】滋賀学園、彦根総合が初戦を突破<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>