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本格野球映画『KANO』 マー・ジーシアン監督に独占インタビュー!映画に込めた熱い思いを語る

2015.01.22

 1923年~1940年の間、台湾の代表が甲子園に出場していことをご存知でしょうか。最高成績は1931年の嘉義農林が成し遂げた夏の甲子園準優勝です。今月24日に上映される「KANO」は、その嘉義農林に焦点を当てた映画です。今回は「KANO」を手掛けたウェイ・ダーション(魏 徳聖)プロデューサーとマー・ジーシアン(馬 志翔)監督にこの映画に込められた想いについて聞いてみました。非常に細部にまで手をかけた作品だと分かるはずです。また、主演・呉 明捷(ゴ・メイショウ)役として出演した曹 佑寧(ツァオ・ヨウニン)選手についてもヒアリング!高校野球好き必見のインタビューです!

映画の内容を知りたい!というかたはこちらの記事をチェック!
【映画紹介】本格的野球映画・KANOの魅力、そして台湾野球への影響を探る

【目次】
[1]初代の甲子園を再現するため細部までこだわった
[2]エース・呉 明捷役を務めた曹 佑寧には自分の好きな道に邁進してほしい
[3]歴史は繰り返すもの 歴史の経験に対して、その知恵を得るかが大切

初代の甲子園を再現するため細部までこだわった


【左からウェイ・ダーション(魏 徳聖)プロデューサーとマー・ジーシアン(馬 志翔)監督】

――KANOの映画を手掛ける前、日本の高校野球にはどんなイメージを描いていたでしょうか。実際に甲子園で高校野球を見られて、どう感じましたか?

馬 志翔監督(以下「馬 志翔」) 小さい頃に甲子園の存在というのは、聞いてはいました。台湾では甲子園も、野球も、好きな人がいっぱいいます。甲子園は日本の高校野球にとって大舞台です。

 KANOを撮る前に、やっぱり甲子園の気分をどうしても自分で感じてみたいと思い、実は一昨年の選抜の試合を見に行ったんです。本当に感動しました。何に一番感動したかというと、観客の声援です。球児たちが必死にプレー出来るのは、多くの観客の声援の力があるからだと思います。

 甲子園の歴史は日本の歴史にとても関わりが強く、それはこの映画を撮るにあたって、非常に重要なポイントでもありました。歴史はいろんな事実が多ければ多いほど、人々を感動させることができます。我々の人生の大先輩たちがかつて甲子園まで行って、こんな素晴らしいことを成し遂げたという歴史を知ることができて、自分自身も誇りに思いました。先人たちの歴史を知ることで、私たちは大きな勇気をもらい、未来へ一歩前進できます。

――映画作りの中で、何か工夫したエピソードはありますか?

馬 志翔 1931年の甲子園球場は初代の甲子園の造りですね。今の[stadium]甲子園[/stadium]の造りとは、全然違います。初代の甲子園を再現するため、関係者の方々にご協力いただいて作りました。その再現には本当に苦労しました。恐らく日本の皆様は初代の甲子園の形をご存知ないので、この映画を通して初代の甲子園がどういうものなのかを知っていただきたい。それもこの映画の見所です。

 そしてリアル感を出すには、当時の感覚や雰囲気を再現することが必要です。それを再現するために、細部まで作り上げたわけです。すべてはお答えできませんが、例えば、白いユニフォーム。今の白い生地と、当時の白い生地とでは、色合いが違います。我々は当時の色合いを出すために、ユニフォームの見せ方までこだわりました。

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[page_break:エース・呉 明捷役を務めた曹 佑寧には自分の好きな道に邁進してほしい]

【目次】
[1]初代の甲子園を再現するため細部までこだわった
[2]エース・呉 明捷役を務めた曹 佑寧には自分の好きな道に邁進してほしい
[3]歴史は繰り返すもの 歴史の経験に対して、その知恵を得るかが大切

エース・呉 明捷役を務めた曹 佑寧には自分の好きな道に邁進してほしい

マー・ジーシアン(馬 志翔)監督

――KANOでは、映画に出演した選手たち(若い素人俳優たち)は実際にも野球選手だと聞いています。これまでの映画ではなかなかないキャスティングだと思いますが、このキャスティングにこだわった理由を教えてください。

馬 志翔 この映画の俳優たちは、甲子園に出場し、さらに活躍する選手を演じています。やはり説得力のある技能、体力を持っていないといけないと考えて選考しました。

――その中で、エースの呉 明捷役を務めた曹 佑寧選手は、21Uワールドカップの台湾代表として優勝に貢献。さらに大会のベストナインにも選ばれています。選手として活躍する彼の勇ましい姿を見て、どのような想いを持ちましたか?

馬 志翔 彼は撮影のために1年間休学をしてくれました。しかし休学に際して、お父さんが大反対したそうです。休学したら、野球が疎かになってしまうのではないかと。でも彼は、お父さんを「時間の無駄はない。この1年は勉強しにいくんだ」と説得して、撮影に参加してくれました。彼のような若者が様々なことを学んで、広い視野を養うことはとても大事だと思います。

 その後、彼は国際大会でも活躍するようになりました。彼の活躍の中に、KANOのチームの精神が生きているのかなと思います。彼の活躍はとても嬉しく、喜んでおります。
また今回、プロモーションでは彼も来日する予定でしたが、練習をしたいということで、来ておりません。映画の撮影も終わったわけなので、彼には野球のプロフェッショナルになりたいという目標がありますから、その選択を尊重させました。

――馬監督から見て、曹 佑寧選手は選手を選ぶべきでしょうか、それとも俳優を選ぶべきかでしょうか。

馬 志翔 そのことは彼とも話をしまして、私は「スター選手、スター俳優の両方を手に入れられるように努力をするべきだよ」と話しました。自分の専門の仕事だけではなく、自分が好きなことを頑張れば良いと思います。
彼はとても素直な子で、礼儀正しさを持っています。主演を務めた後大人気となっても、彼はおごり高ぶることがないのが素晴らしいですね。彼が進みたい道にとことん邁進してほしいと思っています。

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[page_break:歴史は繰り返すもの 歴史の経験に対して、その知恵を得るかが大切]

【目次】
[1]初代の甲子園を再現するため細部までこだわった
[2]エース・呉 明捷役を務めた曹 佑寧には自分の好きな道に邁進してほしい
[3]歴史は繰り返すもの 歴史の経験に対して、その知恵を得るかが大切

歴史は繰り返すもの 歴史の経験に対して、その知恵を得るかが大切

ウェイ・ダーション(魏 徳聖)プロデューサー

――魏プロデューサーに聞きたいのですが、魏プロデューサーが手がけた映画には歴史の話がたくさんあり、日本統治時代の話が殆どです。魏プロデューサーはどんな風に日本を見ていますか?

魏 徳聖プロデューサー 私はいろいろな作品を手掛けたりしてきて感じたのは、今の台湾と日本はお互いになんとなくですが、国際的に弱い立場にいるような気がするということです。

 そこで、私は歴史を振り返り、もう一度見直して、自分の立ち位置を確認して、出発することが大事だと思います。よく言うことですが、歴史は良いことでも、悪いことでも、繰り返すものなんです。
問題はその繰り返しの経験に対して、人間はそこから知恵をちゃんと得ることができるかどうか。これが大事だと思います。つまり過去の歴史から、我々はどう学ぶべきか。歴史から学ぶことは人々にとって大きな自信になります。

 最後に一言言わせてもらいますと、勝者、敗者の振る舞いも大切です。負けても格好よく前を向いて自信を持って歩くこと。そして勝ったとしても、弱者をしっかりと守ることが大事だと思います。

――日本の高校球児には、KANOを見て何を感じてほしいですか?また台湾の高校球児には、何を感じてほしいでしょうか。そして最後に、日本の高校球児へ向けてメッセージをお願いします。

馬 志翔 まず夢があるなら、大きい夢を持ってください。実現のために大胆にやりましょう。でも夢を実現するにはプロセスがあり、その間には絶対挫折があるでしょう。そういった時に、先輩たちは、我々を救い出すヒントを教えてくれるでしょう。

勇敢に歩けば、絶対に成功を手にすることはできます。それは歴史上の人物がそう言ってくれています。試合に負けても、嘉義農林の選手たちは多くの観客の声援や拍手をもらいました。それは勝負に勝ったということだと思うんです。
私に3時間をください。この3時間の映画を通して、皆様に未来へ進んでいけるパワーを与えることが出来ると思います。

 魏プロデューサー、馬監督、ありがとうございました。歴史を学んで、そこからどんな知恵を得ていくか、とても大事なことだと思います。また、現役選手として国際大会で活躍する曹 佑寧選手を含め、映画に登場する選手たちの真剣な演技にも注目です!ぜひ球児の皆さんも、時間があるときに映画館に足を運んで、グラウンドでは得られない大切なモノを学んでください!

台湾野球についてもっと知りたい!というかたは以下をチェック!
台湾で注目の若手プレーヤーたち『郭 修延・賴 鴻誠』
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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