試合レポート

大阪桐蔭vs明石商

2018.05.27

選抜Vの意地を見せた大阪桐蔭が準決勝へ

大阪桐蔭vs明石商 | 高校野球ドットコム
復帰戦で5打数5安打の活躍の藤原 恭大

 大阪府予選決勝を大差で勝ち上がった大阪桐蔭と、兵庫県予選1位の明石商の対戦は、後半に明石商が猛追を見せ延長戦にもつれ込んだが、地力に勝る大阪桐蔭が犠飛で勝ち越し接戦を制した。

明石商の先発は背番号18の中森 俊介(1年)。低めの制球が良く緩急を使い分けて安定感のある投球であったが、全国でもトップレベルの大阪桐蔭打線を抑えるには至らなかった。1回表、二死から3番・中川 卓也(3年)を左安で出すと、4番・根尾 昂(3年)にはストレートの四球。5番・大阪桐蔭 山田 健太(3年)に初球を上手く右中間に運ばれ先制点を献上した。続く2回表には先頭の7番・井阪 太一(3年)、8番・小泉 航平(3年)と連打を許したところで降板。2番手の加田 悠真(3年)にマウンドを譲った。

加田は背番号3の左腕。スリークォーターから遅い変化球でタイミングをずらすような投球をする。マウンドを引き継いだ無死一、三塁から9番・中野 波来(2年)を三振に打ち取ったが、1番・藤原 恭大(3年)の適時打、2番・青地 斗舞(3年)の内野ゴロにより結局2人の走者を返してしまう。さらに4回表には、一死から8番・小泉の中安、9番・中野の敵失と続き、ここから1番・藤原、2番・青地、3番・中川の三連打で3失点。6対0で前半を折り返し、試合はこのまま一方的な展開になるかと思われた。


 ところが後半に入って明石商が反撃を開始する。まずは6回裏、先頭の1番・来田 涼斗(1年)は先発・根尾の球をしっかり捉え、これが二塁手の失策を誘って出塁、2番・田渕 翔(3年)はストレートの四球、3番・重宮 涼(2年)も右安で続き無死満塁の好機を迎えた。ここで4番・福谷 航太(3年)の打球は平凡な二ゴロであったが、まずは二塁封殺の間に三塁走者が生還して1点、さらに守備が打者走者のオーバーランに気を取られている隙に二塁走者の田渕も生還して2点目。二死一、二塁から6番・水上 桂(2年)の適時打も飛び出し、この回で3点を返した。

 そして8回裏、今度は2番手の柿木 蓮(3年)に対して、先頭の2番・田渕が三塁打に始まり、3番・重宮が適時打。4番・山本 健太朗(3年)が右安、5番・植本 亮太(3年)が適時三塁打と四連打で2点、6番・水上の投ゴロの間に1点を追加し、ついに同点に追い付いた。

 後半は明石商の投手陣も踏ん張った。5回表からは3番手・背番号1の福谷、9回表は4番手・勝本 樹(3年)が、毎回走者を出しながらも大阪桐蔭打線を0点に抑え、試合は延長戦に突入した。

 しかし幕切れは10回表。先頭の8番・小泉が四球で出塁すると、1番・藤原の四球と捕逸で走者を進め一死二、三塁。ここで代わった5番手・溝尾から2番・青地が犠飛を放ち1点を勝ち越し、10回裏は柿木が三者凡退で締めて、大阪桐蔭が辛勝を収める結果となった。

 センバツ連覇、大阪府予選優勝の大阪桐蔭はやはり強い。復帰戦で5打数5安打の藤原を始め、上位3打者が2打点ずつを挙げた前半の攻撃力は流石のものである。正直なところコールドで勝ち切るのが理想だったかもしれないが、それを阻止したのは明石商の後半の追い上げである。全国大会でも登板している根尾、柿木から3点ずつ奪った打撃力、4回4安打無失点の福谷を始め5人の継投で延長戦にまで持ち込んだ投手力は、全国レベルでも十分に戦えることを示した。その自信を胸にさらなる高み目指し、夏の100回大会へと邁進して欲しい。

(文=西村結生・写真=中谷明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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