試合レポート

八王子vs明大中野八王子

2017.07.26

八王子、桜井主将の勝負を決める3ラン!4強で早稲田実と再対決

 八王子勢同士の対戦。この両校は、昨年の秋季都大会でも対戦し、7対3で八王子が勝利している。ただこの時とは、バッテリーをはじめ、メンバーの顔触れもかなり変わっているので、あまり参考にはならない。

 この日、神宮球場周辺は朝から雨。第1試合は午前9時に始まったものの、1回表の途中で雨脚が強まり中断。そのまま第1試合の中止が決まり、第2試合であるこのカードも、様子をみて決めることになっていた。

 12時過ぎて、雨が少し弱くなったのをみて、12時26分に試合が始まった。雨の中、試合が本当に行われるのかどうか分からない中で待機した後での試合開始直後というのは難しい。

 1回表明大中野八王子は、八王子の先発・高橋裕汰から得点を奪えなかったが、その裏八王子は、明大中野八王子の先発・後山宗一郎を攻める。二死三塁から、4番・櫻井陸朗、5番・熊澤諒太の連続二塁打、6番・初鹿野滉平の左前安打で初回に3点を入れる。

 対する明大中野八王子は2回表、6番・島村遼太が四球の後、7番・天野翔太の三塁前バントを、三塁手が足を滑らせ内野安打になり、8番・石川隼のバントも内野安打。さらに一塁送球が悪送球になる間に、島村が生還した。雨脚は再び強くなり出した。9番・進藤駿が三振の後、八王子は投手を古市哲也に交代。1番・杉山祐樹への3球目を投げ終わった後で、雨のため試合が中断。天気予報をみた感じでは、待てば試合が再開できそうな感じだが、プロ野球併用日だけに、いつまでも待てない状況にある。

 午後1時30分を過ぎて、ようやく雨脚が弱くなりはじめ、47分に試合再開。再開直後、杉山が中前安打を放ち2人が生還。明大中野八王子が同点に追いついた。

 その後しばらくは、双方走者を出しながらも無得点が続く。3対3の均衡が崩れたのは6回表明大中野八王子の攻撃。島村の右前安打、天野の四球に、捕手の二塁への悪送球や盗塁などがあり、一死二、三塁で、石川の左犠飛で1点。進藤のバントヒットで二死一、三塁となったところで、八王子は投手を村田将輝に交代した。その直後、1番・杉山の三塁強襲打で明大中野八王子はさらに1点を加える。

 4回戦、5回戦で好投した村田だが、やはり疲労は隠せない。7回表には、後山宗一郎の二塁打に続き、5番・丸山隆馬がライトスタンドへ2ランを放ち、明大中野八王子が4点をリードする。

 明大中野八王子の先発の後山は6回を終えた時点で球数が105。雨天の中、コンディション調整が難しい中での100球越えは、思っている以上に負担になっていたのか。

 7回裏後山は突然乱れ、3人続けて四死球で無死満塁となる。7番・越村周の左前安打で八王子が1点を返した後、八王子の安藤徳明監督は、ここが勝負どころと思い、代打攻勢をかける。8番・黒田将希への代打・雨宮諒也が中前安打で1点。投手の村田への代打・山崎智也の右前安打で2人が還ったのに続き、右翼手から三塁へ悪送球がある間に一塁走者も生還して八王子が一気に逆転した。

 さらに2番・加藤大翔の中前安打で1点を加える。敵失もあり、なおも続く一死一、二塁の場面で、4番・櫻井の打球はレフトスタンドに飛び込む3ランとなり、八王子は7回裏に一挙9点。試合の主導権を握った。

 村田に代打を出したため、八王子は8回表から米原大地をマウンドに送った。米原は最速が130キロ台の半ば。むしろ90キロ台のスローボールを織り交ぜての投球。本調子でないのは明らかだ。それでも8回表に後山に二塁打を打たれ1点を失ったものの、悪いなりに投球を組み立て、追加点を許さなかった。

 結局12対8で八王子が勝って、準決勝進出を決めた。

 安打数は八王子が12本に対し、明大中野八王子は13本とむしろ上回っていた。しかし四死球の数が、八王子の投手陣が4個与えただけだったが、明大中野八王子は後山の9個を含め、10個与えたことが大きかった。とりわけ、7回の3者連続四死球が、試合の流れを変えた。普通のコンディションで試合が行われていたら、試合の内容は違ったかもしれない。けれども、こうした状況の中で試合を行うのも野球の一部。雨の神宮球場で試合をしたことも、貴重な経験になるはずだ。

 勝った八王子は、準決勝で早稲田実業と対戦する。早稲田実業は昨夏の準々決勝で勝った相手だけに、俄然注目が集まる対戦になる。

 気になるのは、昨夏の早稲田実業戦勝利の立役者である早乙女大輝米原大地のコンディションだ。米原は5回戦では登板できない状態だったが、準々決勝では、本調子ではないが、登板はできるまでになった。中1日でどうなるか。どの投手が清宮幸太郎と対戦するのか。試合当日のコンディション、安藤監督と選手の信頼関係が登板する投手を決め、試合の流れを左右しそうだ。

(レポート=大島裕史)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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