試合レポート

智辯学園vs神港学園

2015.10.19

またも打者の逸材!新星・太田英毅の3打点の活躍で智辯学園が準々決勝進出

1番太田英毅(智辯学園)

 岡本和真(現・読売巨人)、プロ志望の3年生・廣岡大志と近年、立て続けにプロ注目の強打者を輩出している智辯学園。この2人と同じくプロ注目の内野手になるかもしれない選手がまたも現れた。

 その名は太田英毅(ひでたけ)。神戸中央シニア出身の1年生である。
入学直後、太田は廣岡の打撃、守備を見て、すぐに「廣岡さんのような選手になりたい」と憧れた。廣岡からも直接、打撃面で手ほどきを受けた。「廣岡さんから上半身の動作を学びました」と語るように太田の打撃フォームを見ると、左足をゆったりと上げてからバックスイングを取るときに顎を左肩を乗せて、やや体をねじらせるようにスイングしていく様子は廣岡と少し似ているところがある。1球目からスイングを行い、実に鋭いスイングを見せている。そして2球目だった。
「スライダー中心の攻めだったので、インコースに甘く入ったスライダーを捉えました」

神港学園の先発右腕・三宅浩史郎(2年)が投じたスライダーを逃さずにポール直撃の先頭打者本塁打で1点を先制する。軽く振り抜いたように思えるが、175センチ76キロとまだ体格は発展途上ではあるが、綺麗に腰がスピンして、そのスピンの力をスイングに生かした惚れ惚れする体の使い方で人並み以上に打球を飛ばし、先制パンチを見せた。そして第2打席は2回表、一死満塁のチャンスで打席に回ってきた。

 打席に入る前の太田の顔を見ると、「よし、俺の前に回ってきたな」と得意顔になっている様子が見える。目立ちたがり屋なのが、なんとなくわかるのだ。なので本人に「チャンスの場面で打席に盛り上がると気分的に盛り上がる?」と聞いてみた。「そうですね。やっぱり気持ち的に盛り上がってきますね」と即答で答えてくれた。その太田は2球目を打って2点を追加する左前適時打で3対0とした。この打席はストレートを狙っていた。
「相手バッテリーはスライダーを打たれたことが頭にあったと思うので、ストレートが来るだろうと。その狙い通りにストレートが来ました」と読み通りの打撃ができたと振り返った。それにしても太田は初球から振っていくことが多い。これは中学時代の時から心がけていることで、初球から打っていくことで、打線に勢いを与えられるから。

 だからといってむやみに振っているのではなく、しっかりと狙い球を絞って打っているのだ。まだ「集中力を欠いて、雑な打撃になっているのが課題です」と自己分析ができるように一打席、一打席ごとにしっかりと反省ができている。また守備についてはまだ無駄なステップが多く、スローイングのスピードも磨く必要がある。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ

2015年秋季大会

先発・村上頌樹(智辯学園)

「廣岡さんとはかなりかけ離れているので。上半身が浮いてしまうのと、あとはスローイングが課題です」と本人も守備が課題と捉えている。守備についてはまだ鍛えたりないところがあるかもしれない。守備のイロハを叩き込んでいけば、いずれ守れる選手になっていくだろう。まだ肉体的にも伸びしろがあり守備ではテクニックとフィジカルの両面を伸ばしていけば、いずれ強打堅守の遊撃手に育つ可能性を持っているだろう。廣岡に似た本番に力を発揮できるメンタリティの強さがあり、これからもずっと追いかけたくなるような選手だった。

 智辯学園の先発・村上頌樹(2年)はメリハリが付いた投球で好投。この夏天理に敗れた原因として、「カウントを悪くして、置きに行ったところを打たれていたので、ストライク先行で投球を組み立てることを心掛けた」と振り返るように、この試合ではストレート主体に投球を組み立てていき、135キロ前後(最速139キロ)のストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、神港学園打線を打たせて取っていく。ストレートでねじ伏せることにこだわる村上は、要所では高めのストレートで空振り三振を奪うなど、ストレートの勢い、キレともに良かった。
 ストライク先行の投球、そしてストレートと変化球をうまく投げ分け、メリハリをつける。簡単には狙い球を絞らないピッチングで、1失点完投勝利。さらに8奪三振の快投だった。

 次は大阪桐蔭と対戦する。「あれほど振れる打線は恐怖感があります」と語る村上。しかしこういう相手だからこそ村上の投球術が求められるだろう。新星・太田の出場。さらに進化を見せつつあるエース村上。近畿大会準々決勝では最も盛り上がる一戦になることだろう。

(文=河嶋 宗一


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.10

【北海道】札幌支部は11日に抽選会!27連勝中の北海に、20年ぶりに春全道大会出場の大麻にも注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【福島】いわき光洋、平工が勝利<春季支部選手権大会>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【北海道】札幌支部は11日に抽選会!27連勝中の北海に、20年ぶりに春全道大会出場の大麻にも注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.10

【福島】いわき光洋、平工が勝利<春季支部選手権大会>

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商