川内商工vs鹿児島商
ワンポイントリリーフが功を奏す・川内商工
川内商工は、勝負どころで起用したエース鈴木雄成(2年)のワンポイントリリーフが功を奏し、鹿児島商に5安打完封勝ちだった。
先発に背番号10の左腕・松田悠真(2年)、ワンポイントに同じく左腕の鈴木を起用。8月の北薩大会から使っていたチームの「秘策」だった。松田は前チームからマウンド経験のある投手だが、制球に難があり、突然四死球を出す癖があった。鈴木は1番を今大会背負っているが、元々野手で「本格的にブルペンで投球練習をしたのがこの1カ月ぐらい」(松元将志監督)という急造投手。それでも「変化球でストライクをとれるのと、二死満塁のピンチでも平然とニコニコしている気持ちの強さがある。『鈴木が打たれたらしょうがない』と思えるような信頼感がある」ことを指揮官が買っているからだ。
この日も、先頭打者に三塁打を浴びるなど、松田の立ち上がりは不安定だった。3回に2つの四球で二死一二塁となったところで、松元監督はライトの守りについていた鈴木にスイッチ。投球練習もほとんどしていないが、二ゴロに打ち取って期待に応えた。
4回にこの試合で唯一の集中打が出て、川内商工が3点を先取。その後は両者、チャンスが作れなかった中で、7回表に内野安打、エラー、四球で二死満塁のピンチを迎えると、再び鈴木にスイッチ。ここもきっちり遊ゴロに打ち取って最大の試練を乗り切ると、8、9回はそのまま鈴木が3人ずつで締めくくり、強豪・鹿商を完封した。
(文=政 純一郎)