池田vs松陽
力投する福岡毅一郎(池田)
エース福岡が3安打完封
鹿児島池田の右腕・福岡毅一郎(2年)、鹿児島松陽の左腕・西別府巧(2年)。
この年代で注目している両エースが投げ合った開幕戦は、1回戦にはもったいない好カードだった。池田が7回に挙げた1点を守り切り、シード校・神村学園への挑戦権を手にした。
エース福岡は散発3安打と圧巻の投球内容だった。変化球が低めに決まり、直球も球威があった。バックネットで観戦していた神村学園のスピードガンでは最速134キロを記録したという。
「完封は練習試合でもしたことがない。直球が130台も出ている手応えはなかった。変化球の制球に気をつけて、力まない投球を心掛けていた」
福岡は振り返る。
福島竜太監督が評価したのは「バッテリーの間合い」だった。相手の狙いをうまい具合に外し、流れが悪そうになると、良いタイミングで捕手・福永将士(2年)がタイムをとって間をとる。先頭打者を出したのは3、4回だけで、3回に死球で出した走者は「自信を持っている」けん制で刺した。テンポも良くわずか82球の「省エネ投球」だった。
攻撃では、序盤から再三チャンスを作りながら、バントミス、走塁ミスなど拙攻が続いた。7回に「練習では打てないのに、試合になると良いところで打ってくれる」(福島監督)6番・伊東峻(1年)がレフト前ヒットで出塁し、エラーも誘って無死二塁のチャンスメーク。9番・大山涼平(2年)がセンター前に弾き返し、虎の子の1点をもぎ取った。
鹿児島池田は夏の4回戦で神村学園と対戦している。福岡―福永のバッテリーをはじめほとんどの選手がその試合を経験している。チームが変わったとはいえ、夏に負けた相手と、直後の秋に再戦できるのは、この2カ月弱の成長を試すことができる絶好の舞台といえる。
「夏は終盤力が落ちて打たれた。後半もしっかりと自分の投球ができるか、試したい」
福岡は張り切っていた。
(文=政 純一郎)