Column

宗山塁(明大)ら大学ドラフト候補が放つ「強烈なオーラ」は新人アーティストの「ブレイク前夜」を彷彿させる 新連載・一志順夫コラム「白球交差点」vol.2

2024.05.14


西川史礁(青山学院大)、宗山塁(明治大)

大学No.1ショート宗山の独特の雰囲気は先輩名プレーヤー鳥越を彷彿とさせる

4月29日には東京六大学野球春季リーグ戦、明治大対早稲田大を観戦。この日のお目当てはショートとしては10年に一人の逸材と言われている明治大・宗山 塁(広陵)のプレーだ。
侍JAPAN召集前のオープン戦での死球による骨折で、春の出場が危ぶまれていたが、驚異的な回復力で何とか間に合った。とはいえ、まだバッティングに関しては本調子とはいえず、この日も伊藤 樹仙台育英)-印出 太一中京大中京)バッテリーの執拗な内角攻めに翻弄され、通算100安打達成を阻止された。残り試合と秋のシーズンで、先輩・髙山 俊日大三-明治大-阪神-オイシックス新潟アルビレックス)の持つリーグ最多安打記録131本を超えることができるかどうかかなり微妙な線になってきたが、それはともかく、野手としての総合的な能力の高さは揺るぎないレベルで、間違いなく秋のドラフトでは複数球団からの1位指名は確実と思われる。

宗山も西川と同様、グラウンドに立っているだけで独特の雰囲気が自然と滲み出てくる選手。ショートというポジションで言えば、最近では田中 幹也東海大菅生-亜細亜大-中日)、辻本 倫太郎北海-仙台大-中日)が超人的な守備力で瞠目されたが、宗山にはそれに加えて圧倒的な華とスター性がある。宗山が1年生で早くもレギュラーを獲得し中心選手になった頃、そのスタイリッシュなユニホーム姿のシルエットが誰かに似ているなぁ、と気になり脳内の映像アーカイブを検索してヒットしたのは、1990年代前半活躍した同じ明治大の先輩ショート・ストップ、鳥越 裕介(臼杵-明治大-中日-ダイエー・ソフトバンク)の姿だった。長身ながら軽快なフットワークを駆使し、深い位置からの強肩発動、これだけで「銭に稼げる」プレーヤーであるところはオーバーラップする。左右の違いはあれど、シュアなバッティングスタイルも相似形といえよう。プロ入り後、打撃では鳥越も苦労したように宗山も「プロの壁」にぶち当たることは想定内だが、持ち前の非凡な野球センスで必ず克服できるはずで、獲得した球団は今後10年間ショートのポジションで思い悩む必要がなくなることは保証しよう。

あの西舘から豪快な一発を放った青学大3年・初谷の成長に最注目!

もう青田買いの段階はとうに過ぎてしまったかもしれないが、個人的に今最も注目している次代のショート・ストップは青山学院大3年生の初谷 健心関東一)だ。鳥越、宗山の系譜に連なる大型ショートで、走攻守の潜在能力はかなりの高さがある。ちょうど1年前、中央大のエース・西舘 勇陽(巨人)のストレートを捉え、ZOZOマリンのライトスタンドに放り込んだ一発があまりに衝撃的で、左投手を打ちあぐねているのとやや確実性に欠けるところに難ありだが、経験を重ねればまだまだ伸びしろを期待できる有望株、今後も目が離せない。

一志順夫プロフィール
いっし・よりお。1962年東京生まれ。
音楽・映像プロデューサー、コラムニスト。
早稲田大学政経学部政治学科卒業後、(株)CBSソニー・グループ(現・ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社。
(株)EPIC/SONY、SME CAオフィス、(株)DEF STAR RECORD代表取締役社長、(株)Label Gate代表取締役社長を務め、2022年退任。
アマチュア野球を中心に50余年の観戦歴を誇る。
現在は音楽プロデュース業の傍ら「週刊てりとりぃ」にて「のすたるじあ東京」、「月刊てりとりぃ」にて「12片の栞」等、連載中。

<関連記事はこちら>
健大高崎に初優勝をもたらした「Wエース」と「Wエース」を許さなかった怪物江川と悲運の大橋 新連載・一志順夫コラム「白球交差点」vol.1

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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