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古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26


チームの雰囲気を盛り立てる郷家璃久主将

【一覧】春季宮城県地区大会 組み合わせ
【一覧】春季宮城県地区大会 ここまでの結果

春季東北地区高校野球大会につながる第18回春季宮城県高校野球地区大会は、20日に南部地区と中部地区で開幕した。昨春の県大会で準優勝に輝いた仙台商(仙台市立)は、27日に強敵・仙台育英との初戦を迎える。今年の3年生の代は1年時からレギュラークラスだった選手が多く、“黄金世代”と期待する声もある。今オフは打倒・強豪私立と春季東北大会、甲子園出場を目指し、鍛錬の日々を過ごしてきた。

“黄金世代”のルーツは3年前の夏

「中学3年の時に(仙台商が)仙台育英に勝った試合を見て、『この高校で私立を倒して甲子園に行きたい』と思ったので」

今年の3年生に「仙台商に進学した理由」を聞くと、共通した答えが返ってきた。2021年夏の宮城大会。エース齋 賢矢投手(現・東北福祉大)を擁した仙台商は、4回戦で夏4連覇中の仙台育英に勝利した。仙台育英が県内の公式戦で敗れるのは4年ぶりの出来事だった。

仙台商の勝利は、進路を検討中だった県内の中学3年生に強烈な印象を与えた。下原 俊介監督いわく、同年の学校説明会には例年より多くの参加者が訪れたという。結果的に、ポテンシャルの高い選手たちが続々と入部。新幹線通学や1時間超の自転車通学をしている部員もいるほど、仙台商で野球をすることにこだわる選手たちが集まってきた。

彼らが入部して以降、県大会での「仙台育英撃破」再現のチャンスは3度あった。2022年夏は2回戦、22年秋は3回戦、23年春は決勝で当たり、いずれも敗戦。23年夏、秋は対戦の機会がなく、夏はタイブレークの接戦を落として初戦敗退、秋は8強止まりと悔いの残る結果に終わった。今年こそ再現なるか、注目が集まる。

昨秋打率7割超の3、4番が打線の軸

今年のチームは打線に厚みがある。昨秋の県大会では3試合で26得点を挙げ、チーム打率は4割に迫った。打線の中軸を担うのは3番・熊坂 勇星外野手(3年)と4番・郷家 璃久内野手(3年)で、二人はいずれも7割を超える打率をマークした。

1年時からクリーンアップに座って経験値を積んできた郷家は、昨秋から主将に就任した。就任時は、夏の宮城大会で初戦敗退を喫した直後。郷家は「春準優勝して、みんな『負けるはずがない』と自信にあふれていたので、負けた時は実感が湧かなかった。次の日、新チームになって、やっていけるのかなと不安でした」と当時を回顧する。

秋に向けた練習が始まると、その不安は的中した。「下級生の頃から試合に出ている選手も多かったんですけど、(1学年上の)3年生に頼っていた部分も大きかった。それぞれが自分勝手な行動をするというか、バラバラになっていました」。チーム全体に、夏の敗戦から立ち直れない雰囲気が漂っていた。

それでも、郷家は「秋季東北大会出場」という目標を何度も口にしチームメイトを鼓舞した。下原監督は郷家の存在を「精神的支柱」と表現する。県大会では初戦の石巻戦で2安打5打点、続く東北学院榴ケ岡戦で本塁打含む3安打3打点と打棒を爆発させるなど、プレーでも引っ張った。強打者のイメージが強いが、本人は「長打はあまり狙わず、うしろにつなぐ意識で打席になっている。『ヒットの延長がホームラン』という考えです」と話す。

その郷家に「なんとかつなげば1点、2点と取り返してくれるので、心強い」と全幅の信頼を寄せるのが熊坂だ。熊坂も同様に「4番の郷家選手につなごう」との意識を持っており、それを貫いたことが結果に結びついたと考えている。今オフは打球の飛距離や速度を向上させるため、体重を約5キロ増やした。一冬越え進化した3、4番コンビが、今年も仙台商打線を牽引する。

熊坂 勇星(仙台商)

次のページ:「悔しさ」知って成長した二人の右腕

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この記事の執筆者: 川浪 康太郎

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