【春季東京都大会】終盤で3点差を追いついた駒大高が、タイブレークで東海大高輪台を下す
<春季東京都高校野球大会:駒大高4-3東海大高輪台(延長10回タイブレーク>◇2日◇1回戦◇駒澤
東京都の大学系列校の中堅私学校同士の対決と言っていい顔合わせとなった。しかも、首都大学連盟と東都大学連盟の老舗の強豪校の系列校である。どちらも、東京都の高校野球では抜けた存在とは言わないまでも、強豪校同士で好試合が期待された。
昨秋、ブロック予選初戦で、強豪の八王子と当たって敗れた東海大高輪台は、今春はブロック予選からの出場となった。駒大高は昨秋ブロック予選で正則学園、芝を下して本大会進出を果たしたが、都大会では1回戦で関東一と当たり、0対12の5回コールド負けを喫してしまった。新たな気持ちで挑む春季大会である。
この試合に勝てば、次が昨秋の優勝校で、センバツ出場を果たした関東一となる。厳しいブロックになるが、夏を前にそうした壁に挑んでおくことは悪いことではあるまい。
前半は東海大高輪台の西 海輝投手(2年)投手、駒大高の白木投手と、どちらもテンポのいい投球で、5回を終了して、1時間に満たないスピーディーな展開だった。東海大高輪台は3回、先頭の9番・西が左越え二塁打で出塁すると、バントで1死三塁となり、2番・細野 虎太郎内野手(3年)が中前打を放って先制した。
前半は両チーム通じてこの1点のみだった。ただ、ここまで駒大高は1安打だったのに対して、東海大高輪台は毎回の6安打だった。その分、東海大高輪台が押していたのだが、6回にさらにその流れを引き寄せた。
この回の東海大高輪台は、やや疲れの見えかかった白木投手を捉えて3番・三浦 颯太内野手(3年)、5番・松田 大空捕手(3年)、7番・山中 隼斗内野手(3年)と3本の二塁打で2点を奪う。試合の展開上も、大きな意味のある2点になるかと思われた。
ところが終盤に入って一気に潮目が変わった。7回の駒大高は、1死から福本と大城 翔宇外野手(3年)が連打し、代打・大橋の四球で満塁となる。ここで、東海大高輪台ベンチは西投手を諦めて18番の及川 夏槻投手(3年)投手を送り込んだ。しかし、その2球目が暴投となり1点が入りなおも二、三塁。そこから四死球が続いて押し出しで2点目が入った。これで1点差となる。
6回途中から左腕の塚本投手を挟んだ駒大高の川端教郎監督は、8回から1番をつけた廣瀬投手を一塁から送り出した。廣瀬投手が起用に応えて8回、9回安打こそ許すものの、けん制死などもあって0に抑えた。
そして9回の駒大高。連続四球での無死一、二塁からバントで二、三塁とし、山口 惟呼内野手(2年)の右犠飛で代走の大沼がホームにかえり同点となった。これで、試合はタイブレークに突入していくことになった。
1番からの東海大高輪台は、しっかりバントを決めて二、三塁としたが、この日2安打の細野は二飛に倒れる。「あとは、2人で1つのアウトを取ればいい」というところで、3番・三浦は歩かせたものの、4番・水野 翔外野手(3年)を三振に切って取った。廣瀬投手が何とか踏ん張って0で切り抜けた。タイブレークで相手の表の攻撃を0に抑えると、後攻めが俄然有利になってくる。
裏の駒大高は4番からだったが、川端監督は「打たせていくことは決めていた」と、強攻策も一塁ゴロで1死一、三塁となる。ここまで、駒大高のクリーンアップは計14打席で、3四球こそ選んだものの無安打。苦しんでいたが、5番・出口 煌之内野手(2年)が5打席目で初球を右越えへ放ち、タイブレークの決着をつけるサヨナラ打となった。
「そう簡単には点は取れないので、ロースコアの試合になるとは思っていましたが、相手投手のスライダーが思っていた以上にキレていました。流れとしては、負け試合の展開でしたが、7回に2点を返せて1点差となったのは大きかった」と、川端監督は振り返っていた。駒大高は昨秋、都大会初戦でいいところなく一方的に敗れた関東一に対して、リベンジの機会を得た。一冬越えての成長を示したいところであろう。