【センバツ】新基準バットで重要性がアップ! 8強進出全チームの「三塁ベースコーチ」が明かす「ボクの飛ばないバット対策」
第96回選抜高等学校野球大会もベスト4が出揃った。
今大会話題となったトピックスは「新基準バット」。打球が飛びにくくなり、本塁打はわずか3本しか出ていない。そのうち1本はランニングホームランだった。
打球が飛びにくくなり、外野手の守備位置をかなり前にするチームもあった。その守備位置を見て、ファンからは「中学の軟式野球みたい」という声も聞かれるほどだ。
外野が浅くなったため、二塁走者がシングルヒットで生還するには、適切な判断が必要だ。つまり、今大会は三塁コーチャーの重要性が増しているのだ。
ベスト8に進出したチームの三塁コーチャーに話を聞いた。
新基準バットになっても積極的に回す意識は変えずに
初のベスト4に入った星稜の三塁コーチャー・中村 瞭太内野手(3年)は判断の難しさを語りながらも、積極的に回すことを意識している。
「みんな『どんどん回していい』と言ってくれていますし、チームも『挑戦のミスはOK』という方針なので、たとえばレフト、センターの真ん中に落ちたり、外野手の肩が強くなければ回すことを意識しています。みんな走塁の意識も高く、ベースランニングも上手いので、そのへんは助かっていますね」
初のベスト8に入った阿南光の加治本 隆斗内野手(3年)は回す基準が変わったという。
「前までは正面の打球でも回せる打球はあったんですけど……。今では正面の打球は全て止めるようにしていますね。少しでも外野手の横に飛んだりしていれば、走者の走力を見て、回しています」
健大高崎の金井 俐樹捕手(3年)は試合前の準備で回す基準を決める。
「自分なりの基準を持っていて、判断しています。データを調べて、実際に相手チームのノックを見て、強肩ならば回さないとか、この送球ならばいけるかな、と判断しています」
また、チームのムードメーカーを自認している金井は点を取った時はベンチに向かって、ガッツポーズして盛り上げたり、一塁走者に対してもジェスチャーをしながら指示を送っている。
「三塁コーチャーとして役目を最低限やるのが優先ですが、それができたあと、どれだけ盛り上げられるかというのは自分で心掛けていることです。 まず自分のことをやって、余裕ができたら、しっかりチームにも目を配りながらやっています」
選手の気持ちを後押しする金井の一挙手一投足に注目だ。
山梨学院の手塚 悠槙内野手(3年)は昨秋から三塁コーチャー専任となった。
「吉田部長からやってみないかといわれて。自分は試合もあまり出ていないので、何か貢献できることはないかと思ってやらせてもらいましたが、最初はチームの中での走塁の決まり事が非常に多く、吉田部長にいろいろ指摘されることが多かったと思います」
吉田部長とのミーティングや、実戦を重ねることで知識が身についた。新基準バットが導入された選抜でも適切な判断ができているという。
「新基準バットなので、1点の重みを感じています。味方の打順、外野の守備位置、肩の強さ、打球などを見て、積極的に回そうとしています」
創志学園戦でも積極的に回して、先制点を取った。
「先制点は二死だったんですけど、あそこはもうランナーも足速かったんで、思い切り行かせました」
吉田健人部長は手塚の判断に成長が感じられたという。
「タイミング的にはアウトですが、次の打者は投手の津島。あまり打撃も良くないので、その判断は正解です。彼は野球選手としては不器用なところはありますが、いつも練習を遅くまでやっていて、学ぶ意欲が強い。三塁コーチャーは性格面で光る子をやらせるべきだと思っています。この半年間で、成長が見えていて、彼の判断に『あれ?』と疑問に思うことは少なくなっています」