【野球部訪問・鳥羽高校第3回】超伝統校が考える「新規格バットへの驚くべき対策」とは?
松下 浩司監督(鳥羽)
今年のセンバツから、バットの規格が変更される。従来のバットと比べて打球部の肉厚が増し、球を捉える部分が厚くなっている。投手の安全を守るための措置であり、その結果、飛距離が短くなり、打った打球が失速すると言われている。
この変更を現場はどのように捉えているのだろうか?
過去夏6回、春4回の甲子園出場を誇る京都の鳥羽高校・松下浩司監督に話を聞いた。同校は1915年の第1回夏の大会の王者であり、強豪私立ひしめく京都にあって確固たるポジションを築いている伝統校だ。
「基本としてはやはり、ピッチャーがフォアボール出さないこと。野手は打ち取った打球をエラーしないこと。取りこぼしのないように、ポジショニングを見直し、カバーリングも丁寧にする。バットが変わったからといって、今までと何か変えることはないです。攻撃に関しても、ウチの機動力野球、相手の隙をつくスタイルは今までと変わりません。
バットが変わっても、当たり前のことをきちんとやろう、ミスをなくそうということですね。あえて攻撃面で言うなら、フライを上げていくよりは、強い打球で野手の間を抜いていくことが大事だと思います」
戦術やチームカラーは変えない。しかし、新規格バットに合わせて変える部分もあるという。それは「状況判断能力の向上」だ。
「攻撃面では、打球判断やランナーコーチを見るタイミングがより重要になります。ピッチャーを見てスチールをする練習も重点を置いてやりました」(松下監督)
低反発バットになることで、打球速度は約3.6%減少すると言われている。投手有利に変わることはわかり切っている。だからこそ、攻撃面でのミスを減らし、相手のミスを素早く突くことの出来る状況判断能力がより重要になってくるのだ。
守備面では、イレギュラーへの素早い判断能力を磨いている。
鳥羽にはこんなユニークな練習がある。「食事をするとき、メニューを見て素早く判断する」というものだ。メニューを決める上で、あらかじめ選択の指針があれば、自信をもって決断できる。
「決断に対する自信がついてきたら、判断力は勝手に磨かれると思います。例えば日常の中でも『気がついたことをすぐやろう』とか『選択肢あった時に決断を早くしよう』とか。自分の判断に対する自信をつける。それが野球にも活きるんじゃないかと思います」(松下監督)
日々の生活から、情報判断能力を磨き、野球に活かす。この無形の力が、ゲームを変える1球、ゲームを変えるワンプレーになるかもしれない。
新規格バットに対する鳥羽の今後の取り組みにも注目したい。
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