試合レポート

モイセエフ(豊川)が4安打! 静岡&滋賀の強豪との練習試合で快音、センバツ注目スラッガーは調整順調!

2024.03.14


中西 浩平(豊川)

<練習試合:豊川8-4静清、滋賀学園8-0静清、豊川5-2滋賀学園>◇10日◇刈谷

豊川(愛知)は今春、第96回選抜高校野球大会(18日開幕・阪神甲子園球場)に10年ぶりの出場を果たした。初出場だった前回は、勢いに乗ってベスト4にまで進出している。それ以来の甲子園出場ということになる。

昨秋、県大会では準優勝も、東海地区大会では神村学園伊賀(三重)、岐阜第一(岐阜)には快勝。宇治山田商(三重)には9回の逆転劇で勝利し、決勝では、県大会で敗れていた愛工大名電にリベンジを果たして、東海地区大会初優勝を果たした。先制攻撃を仕掛けて序盤から大きくリード。後半に追いつかれかかったものの、何とか振り切った。さらには、その後の明治神宮大会でも初戦では高知(高知)に粘り勝ち。準決勝で星稜(石川)には敗れたものの、主砲のモイセエフ ニキータ内野手(3年)が強烈な本塁打を放つなど、全国にその存在を強烈に印象づけている。

その豊川が、センバツへ向けて調整試合を行った。

静清(静岡)は、県内の社会人野球の強豪ヤマハでの実績がある長田 仁志監督が率いている。静岡県中部地区の強豪と言われているが、昨秋の新チームは1次予選で敗退してしまい、県大会進出を果たすことができなかった。この春は、まずは1次予選を突破して県大会進出を果たして巻き返しを図りたいところである。

静清としては、2試合のいずれも先発投手が立ち上がりに制球に苦しんで四球を与えてしまい、長打を浴びるという形での失点が痛かった。

この日は、変則ダブルという形で練習試合が組まれ、もう1校は滋賀県の強豪・滋賀学園だった。

滋賀学園は、昨夏の滋賀大会準優勝校だが、昨秋の県大会も決勝までは圧倒的な強さを示しながら、決勝では夏に続いて近江に敗れて準優勝となっている。2位校として近畿大会に進出したが、初戦で履正社(大阪)に敗れて、センバツには届かなかった。それでも、能力の高い選手も多く、攻守に評判も高いチームだ。

豊川との試合で先発した、注目度の高い脇本 耀士投手(3年)は、この日、風も強く気温もあまり上がらなかったということもあり、やや制球に苦しんだところもあった。そこに豊川が巧みに付け入った形になったとはいえ、滋賀学園としては大事なところで失策が絡んだのも、反省材料であろう。結局、3回までに3失点という形になってしまった。2人目の左腕・高橋 侠聖投手(3年)は、代わった4回こそつかまったものの、5回からの2イニングはしっかりと抑えて力のあるところを示した。

結局この日の滋賀学園投手陣は、2試合で6人がそれぞれ3イニングずつを投げた。静清との試合ではフォームのまとまりのいい土田 悠貴投手(2年)、力のありそうな藤瀬 琥珀投手(3年)に、能力の高い岩井 天史内野手(3年)が投げて、いずれも無失点。岩井は、豊川との試合では3番・遊撃手の本来のポジションで出場し、5回には右前適時打を放って勝負強さも示した。

豊川は、2試合で7人の投手が投げたが、風も強く必ずしもベストな環境ではない中で、それぞれが与えられた場面で自分の投球をすることができていたといっていいであろう。エース格の鈴木 爽太投手(3年)が、4イニングを無失点で抑えたのはさすがだった。森 陸投手(3年)も失策絡みで1失点はしたものの、力のある球を投げ込んでいた。そして、中西 浩平投手(2年)は最後の1イニングをピシャリと3人で抑えて仕上がりの良さを見せていた。

豊川の注目、モイセエフは2試合フルに出場して8打席で4安打。三塁打と風による二塁打などもあったが、調子そのものは悪くはないといえそうだ。豊川としても、センバツ大会へ向けて、チーム状況は順調に仕上がっていると言っていいであろう。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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