準硬式だけが持つ魅力を選手たちが語る! 主体性、文武両道、真剣勝負の3本柱こそ準硬式だ!<田中裕毅の”準硬ドットコム”第7回>
学生主体で野球をすることも魅力の1つだ
学生主体、選手主体の世界観
野球人口減少が続く中、2021年から3年連続部員が増加している準硬式。それはなぜか? 現場の選手たちに話を聞いてみた。
なかでも現場で取材をしていて多く集まるのは学生主体、選手主体で活動できるという声である。
「関西は監督が指揮を執るのではなく、主将中心にやることが多いんです。主将を中心にその世代の選手たちによって自分たちのチームを1から作れるのは魅力だと思います」(甲南大・森田勇太)
「高校時代、公式戦での登板は甲子園での1試合だけだった自分のように、高校時代に試合で活躍出来ていなくても、自主性をもってやれれば、活躍できるところは魅力的だと思います」(中京大-富山GRNサンダーバーズ・道﨑 亮太)
いちおう指導者はいるものの=教員というわけではない準硬式。平日の日中は仕事をしており、土日の試合に来られたとしても、スタメン決定は選手たちにゆだねることは珍しくない。もっといえば、指導者すらいないチームも存在する。
あらゆることを学生同士でやらなければいけない。だからこそ考えて野球に向き合う。そこに面白さを見出し、成長に結びつけられるところに、準硬式の魅力があるというわけだ。
あらゆることに挑戦できる
しかし、準硬式の魅力は学生主体、選手主体だけではない。現場での取材で選手たちとコミュニケーションをとっていると、実に様々なポイントが出てくる。
「準硬式の魅力は、ズバリ挑戦だと思うんです。僕自身、大学から投手に挑戦したり、SNSで自ら情報発信にチャレンジしたりってこともあるんですけど、勉強など色んなことにも挑戦できるので、人間として成長できるところだと思います」(関西学院大-高知ファイティングドックス・池端航洋)
「真剣に野球をする姿に感動するのはもちろんですが、その裏側で勉強だったり、何かの活動に参加したり、色んなことに積極的に挑戦して両立させる。そんな多様性が魅力だと思います」(早稲田大・池田有矢)
準硬式はあらゆることに挑むことができる。その点も準硬式の魅力である。それは、準硬式が〈アマチュアスポーツの精神に則り学業との両立を目指す〉という文武両道を目指す精神が根底にあるからだ。
だから大学生活との両立は十分可能であり、池田が語ったように、あらゆることに挑んでいける。多様性が生まれることにもつながるわけだ。
真剣かつ楽しくプレーできる
その一方で日本大・中島健輔らが挙げたように、高校時代に負けない熱量があることも、魅力的なところだ。
「学生主体でやっていて、甲子園をはじめ大きな大会をいろんな人たちの力で作ったり、高校時代に悔しい思いをしても、もう一度日本一を目指したり、甲子園を目指せる人が集まったりしていることは魅力だと思います」(日本大・中島健輔)
「大学でもう一度、硬式野球とは別に、野球を楽しみたい。本気で野球を取り組みたい選手が集まっているので、素晴らしい練習だったり、本気で泣けるくらい熱くなれる全国大会もできるのが良さだと思います」(大阪経済大・高山直之)
「硬式じゃないからダメではなく、準硬式でも楽しいんですよね。なぜなら準硬式でも本気で野球に取り組める。本気で試合をできる。だからこそ楽しいというところは魅力だと思います」(青森大・櫻井頌大)
かく言う私も、硬式野球で継続するのは厳しかったが、遊び感覚で野球を続けるつもりはなかった。そんなところに友人の誘いを受けて日本大学三崎町の存在を知り、その熱量と野球を楽しく取り組める世界観に共感し、準硬式への道を歩んだ。
そうした選手が揃っているから、準硬式は一定のレベルがありながらも、楽しく取り組めるという魅力があるのだ。
先日、関東地区大学準硬式野球連盟は、3月から開幕する関東大会の組み合わせを発表した。真剣勝負の舞台が、今年も迫ってきた。2024年も選手たちがグラウンドで準硬式の魅力を伝えてくれることを楽しみにしたい。
取材・文/田中 裕毅(準硬式野球評論家)
小学3年生から中学生までは軟式野球。高校での3年間は硬式野球をプレー。最後の夏は控え捕手でベンチ入りを果たす。
大学から準硬式野球で3年間プレー。大学2年、3年生のとき、チームは清瀬杯大会に出場し、自身はベンチ入り。さらに3年生の1年はチームの主務として、選手登録やリーグ戦運営に携わる。特に春季リーグはリーグ委員長として、試合日程の調整をはじめとした責任者を任される。