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当時から高校生離れした守備をしていた土田龍空(中日)!理路整然とした守備理論に感銘【新連載! 主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.2】

2024.01.14


土田 龍空

高校2年生が語った「圧巻の守備理論」

甲子園後に行われた福井国体で、私は彼の“別格の守備”に再び心を奪われました。
高知商戦の試合前のシートノックから素晴らしい動きを見せた龍空選手。試合に入っても好プレーを見せます。直前でイレギュラーした打球を逆シングルで捕球。アウトにはなりませんが、反射神経の高さに驚かされました。また、普通のショートゴロでも処理するスピードが他のショートと段違いでした。

こうした守備を見て、いつかじっくりと取材したいという思いが巡ってきました。そのチャンスは翌年に訪れ、春季近畿大会後に行われました。

龍空選手に聞きたかったことは、ショートへのこだわり、グラブへのこだわりでした。『高校野球ドットコム』では守備の名手と呼ばれた藤田 一也内野手(鳴門第一出身)などプロ野球選手にグラブのこだわり、その選手が手にするグラブの設計ポイントについて聞いたインタビューを配信していたので、そのインタビューを見直し、グラブについても聞くポイントもまとめました。

実際にインタビューに臨むと、龍空選手は想像以上に探究心が深い選手ということが分かりました。中学2年生からショートを始め、最初は全く対応ができなかったようですが、動画サイトで憧れとする今宮健太(ソフトバンク)、宮本慎也氏(元ヤクルト)など一流遊撃手の動画を見て研究を重ね、捕球の仕方を学びました。
中学時代に所属していた湖北ボーイズの1学年上に荒木 相斗内野手(比叡山-國學院大)という好ショートがおり、その先輩に憧れた龍空選手は荒木選手の動きも参考にしながら、ある気づきがあったといいます。それはステップの仕方。
「それまで踵をべたっとつけていたのですが、ショートになってからつま先だけ着地して動くようになりました。捕球してからすぐにスピード感を持って動くために足運びの意識を変えたことは大きかったです」

捕球の仕方も変えました。これまで5本指に捕球していたものから2本指に変化。それによって送球のスピードがぐっと速くなったと手応えをつかんだようです。グラブにもこだわり、内野手のグラブは横型で小さいグラブを使う選手が多いのですが、龍空選手は持ち替えの速さを意識して、縦型で深めのものにしていました。

その後も私は、タッチの仕方、スナップスローで意識していること、打球の対する見方など、守備に必要なスキルについて次々と質問していきましたが、龍空選手は理路整然と自分の理論を説明。他の選手にはないハイレベルの守備の背景には、確固たる守備理論があることに気付かされました。私自身、非常に楽しいインタビューでもありました。
2019年夏の甲子園にも出場した龍空選手。抽選会の会場で再会し、いろいろと話をしたことを覚えています。

当時、インタビューに答えた土田龍空

 

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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