霧中の好ゲーム! 星稜、絶妙な継投策で青森山田を振り切る<明治神宮大会準々決勝>
<第54回明治神宮野球大会:星稜3ー2青森山田>◇17日◇準々決勝◇神宮
試合開始は午後4時43分。日も暮れて試合開始当初からナイターで行われた。しかも試合途中に外野に霧が発生するなど、独特の雰囲気の中で試合が行われた。
青森山田(東北)には関 浩一郎投手(2年)、櫻田 朔投手(2年)という好投手がおり、星稜(北信越)には佐宗 翼投手(2年)、道本 想投手(1年)という好投手がいる。青森山田は関、星稜は道本という両右腕の対決になった。
1回、青森山田は2死から3番・對馬 陸翔外野手(2年)が内野安打で出塁し、4番・原田 純希外野手(2年)が二塁打を放って還し、幸先よく1点を先行した。しかし、初回の1点は幸先の良い得点ではあるものの、追加点が入らないと、焦りつつながることもある。実際、2回も無死から四球の走者が出て二塁に進んだものの、星稜の能美 誠也捕手(1年)の牽制に刺されるなど、流れをつかみきれない。
すると星稜は3回、1番・吉田 大吾内野手(2年)が中前安打で出塁し、3番・芦硲 晃太外野手(2年)の二塁打で同点に追いつく。続く4番・萩原 獅王内野手(2年)の打球は左翼のポール際に飛ぶ。打球が切れず、そのままスタンドに入り、勝ち越しの2ランとなった。萩原は打席に入る前、山下 智将監督に「打てそうです」と言っていたという。この本塁打が、値千金の一発になった。
星稜は4回に、この回先頭の6番・能美が中前安打で出塁し、三塁まで進んだものの得点できず、5回は1番・吉田が中前安打で出塁したが、2番・中谷 羽玖内野手(2年)の打球が吉田を直撃し得点できない。8回は青森山田が関に代わり櫻田を投入し、四球の走者2人は出したものの、得点は与えない。
対する青森山田は5回に、この回先頭の7番・橋場 公祐捕手(2年)が二塁打で出塁したが、星稜・道本の牽制に刺される。7回もこの回先頭の原田が二塁打で出塁したものの、得点にはつながらない。
試合は9回まで進み、この回先頭の青森山田の3番・對馬が二塁打で出塁すると、星稜は道本に代えて、1回戦で完投した佐宗をマウンドに送る。山下監督は佐宗に、「先頭打者が出たら行くぞ」と伝えていた。對馬は犠飛で生還したものの、佐宗は1人の走者も出さず青森山田を抑え3対2で星稜が逃げ切り、準決勝進出を決めた。
青森山田の兜森 崇朗監督は、「いい経験をさせてもらいましたが、少し悔いは残ります」と語る。牽制で刺されたこと、送るべき時に送れなかったことなどが、悔いとして残った。
星稜としては萩原の本塁打と、投手の健闘に尽きる。先発の道本については、「立ち上がり不安でした、が最少失点で切り抜け、疲れもあったけれども、気持ちで切り抜けてくれました」と山下監督は語る。準決勝は豊川(東海)との対戦になる。総力戦になることは確かだ。
取材・文=大島 裕史