試合レポート

作新学院 延長10回逆転サヨナラ! 白熱の投手戦を制す 北海は「2016夏決勝」のリベンジならず<明治神宮大会>

2023.11.17


小川哲平(作新学院)

<第54回明治神宮野球大会:作新学院2-1北海>◇16日◇準々決勝◇神宮
世代を超えてその名を知る文字通りの伝統校であり、強豪の対決。しかも2016年夏の甲子園の決勝戦のカードだけに北海の主将、金澤 光流内野手(2年)は、「2016年甲子園の決勝戦で負けているので、リベンジの気持ちでやりました」と語る。リベンジはならなかったものの、さすが伝統校同士の対戦と感じる、緊張感のある好ゲームになった。

北海は、来年から導入される低反発バットを使って試合に臨んだ。「外で練習ができないので、対策をしておく必要がありました」と平川敦監督は語る。寒冷地ならではの事情だ。そのため、外野への打球が、やや失速したこともあった。

しかし、作新学院小川 哲平投手(2年)の投球は、そうした事情に関係なく圧巻だった。初回から140キロを超える伸びのある直球で北海打線を完全に封じる。
作新学院は2回に5番・廣田 瑠稀哉外野手(2年)の死球、6番・岩出 純捕手(2年)の二塁打で1死二、三塁のチャンスを作るが、北海の二塁手・谷川 凌駕内野手(2年)の好守などで得点を与えない。

北海の先発・松田 収司投手(1年)は、作新学院の小川哲ほどの球威はないものの、緩急をつけた投球に乱れがない。また鍛えられた守備も相まって作新学院の攻撃を防ぐ。
4回、作新学院は、2死一、二塁から9番・小川哲が右前安打を放ち、二塁走者が本塁を突いたが、右翼手・宮下 温人外野手(2年)、一塁手・金澤とつなぐ返球リレーにより本塁で刺して、得点を許さない。

以後は7回、作新学院の1番・小森 一誠外野手(2年)が三塁打を放ったものの、2死からであり、続く粒良 大輝内野手(2年)を落ち着いて三振に仕留め得点を与えない。
北海は5回、この回先頭の5番・大石 広那捕手(2年)が敵失で初めて無死からの走者を出したが、作新学院の小川哲はこの回2つの三振を奪い、付け入るスキを与えない。

両チーム得点なく迎えた9回、作新学院は2死二塁で好投している9番の小川哲に打順が回ってきた。「あそこは、迷いはなかったです」と語る小針嵩宏監督は、代打を送る。しかし代打・菅谷 峻汰投手(1年)は一ゴロで得点は入らず、10回からはタイブレークに突入した。
延長10回、北海の攻撃は、無死一、二塁の場面から6番・金澤が打席に入る。この回から小川哲に代わり登板した右サイドの石毛 虹晴投手(2年)は金澤を三振に仕留めたものの、続く7番・中川 彰外野手(2年)に死球で満塁。ここで好投していた8番・松田に代打・長谷川 駿太外野手(2年)を送り、長谷川も死球で押し出しの1点が入る。けれども9番・吉井 天星内野手(1年)は一ゴロで併殺になり1点止まりだった。

その裏、北海は松田に代わり、右腕の新屋敷 寿也投手(2年)が登板する。新屋敷は作新学院の1番・小森を三振に仕留めたものの、2番・粒良に四球で満塁になり、3番・小川 亜怜外野手(1年)の中前安打で2人が還り、作新学院が劇的な逆転勝ちを収めた。

北海は、敗れはしたが、鍛えられた守備はさすが伝統校であった。平川監督は、「松田は思った以上に緩急をつけた、いいピッチングをしてくれました」と語った。ただ相手投手が良かったとはいえ、低反発バットへの対応も含め攻撃力に課題を残した。
一方、好投した作新学院の小川哲は、「点数はやらないという気持ちで投げました。真っ直ぐが通用することが分かりました」と語る。小針監督は北海のレベルの高さを感じながら、それでも物にした勝利に、「チームのまとまりを感じました」と語った。作新学院はチーム一丸で接戦をものにして、準決勝に進出した。

 

この記事の執筆者: 大島 裕史

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