タンパク質摂取には上限がある【セルフコンディションニングお役立ち情報】
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タンパク質を含む食材を中心に栄養バランスの良い食事をとろう
技術練習と並行して行うウエイトトレーニングは体を一回り大きくし、パワーをつけるために欠かせないものの一つと言えるでしょう。その中でもよく見かけるのが、マイ・プロテインを持参してトレーニング中やトレーニング後に摂取する選手の姿です。タンパク質に含まれるアミノ酸は、筋肉の中でタンパク質の合成(=アナボリック)を高め、筋肉量を増やすことに貢献しますが、一方で一日、一食のタンパク質摂取量には上限があることもわかっています。「タンパク質を摂れば摂るほど筋肉が増える」ということにはなりません。
日本人の食事摂取基準では15~18歳のタンパク質推定平均必要量は男子で65g/日、女子で50~55g/日とされています※1。ただしこれはあくまでも平均であり、体の大きさや活動量によって必要となるタンパク質の量は変わります。活動量や体重比を考慮したものとしては、激しい運動を伴うアスリートの場合、持久力系のアスリートで体重1kgあたり1.2~1.4g/日、筋力・パワー系アスリートは1.6~1.8g/日を目安とし※2、さらに強度の高いスポーツを行う選手についても上限を2.0g/kg程度とするものが多いようです。これ以上タンパク質を摂取しても筋肉として合成される可能性が少ないという報告なども紹介されています※3。
一日に必要なタンパク質摂取量は、体重から推定することができます。体重60kgの選手であれば、一日あたりタンパク質の摂取量は96~108g(筋力・パワー系アスリート)を目安となります。さらにタンパク質は一度の食事で吸収できる量がある程度決まっており(諸説ありますが20g~多くても30g程度)「まとめて食べる」ことができません。
基本的な考え方としては一日に必要なタンパク質量を三回の食事プラス間食などで分けて摂取し、不足分をプロテインで補うことが望ましいと言えるでしょう。プロテインはグラム単位で摂取量がわかりやすい反面、過剰摂取になりやすい傾向があります。必要量を超えてタンパク質を過剰摂取し続けてしまうと、体を動かすためのエネルギー源や、体のさまざまな機能を維持するために必要なビタミン・ミネラル分などが不足してコンディションを崩してしまうことや、肝臓や腎臓などに大きなダメージを与えることも考えられます。日頃からプロテインを摂取している選手は、まず食事でタンパク質を含む食材をとること、そして自分の必要量と照らし合わせて「不足する分のみ」をプロテインで補うことを心がけるようにしましょう。
《参考資料》
※1)日本人の食事摂取基準(2020年度版)
※2)Essencials of sports performance training(NASM)
※3)スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる 寺田新著/東京大学出版会
文:西村 典子
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