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「現役ドラフトの星」細川 成也(中日)の高校時代、「入学当初はまったくバットに当たらない選手」だった

2023.11.30


昨年の第1回目の現役ドラフトにてDeNAから中日に加入し、チーム最多の24本塁打を記録した細川 成也(明秀日立)が30日、ナゴヤ球場内で契約更改交渉を行った。今季の年俸は990万円であったが、3510万円増の4500万円(推定)でサインし大幅な昇給となった。

現役ドラフト1期生の野手としてはトップの結果を残し、プロ7年目でのブレークを果たした。本塁打数は41本の巨人・岡本 和真(智辯学園)、31本のヤクルト・村上 宗隆(九州学院)、29本のDeNA・牧 秀悟(松本第一)に続き、阪神・佐藤 輝明(仁川学院)に並ぶリーグ4位タイの記録。打点は5位タイであった。
古巣DeNAでは6年間プレーし1軍では133試合に出場、中日では1年間で140試合に出場し中日での日本人選手としては13年ぶりの20本塁打以上を記録した。

そんな細川は、明秀日立時代、全国屈指のスラッガーとして高校通算63本塁打を記録。しかし、入学当初は全くバットに当たらない選手だったという。そんな細川の3年秋に取材したインタビューを再掲したい。高校時に開花した打撃が現在のプロでの活躍に繋がっていることがわかる。
(インタビュー初掲2016年11月10日)

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明秀学園日立高等学校 細川 成也選手「目指すは次世代を担うスラッガー」

2016年10月20日のドラフト会議にて、横浜DeNAベイスターズから5位指名を受けた細川成也選手。高校通算63本塁打は茨城県では歴代最多。球団も、スラッガーとして高く評価している。その細川は入学当初は全くバットに当たらない選手だったという。指揮官もナインも「化けた」と思わせる成長を見せた、細川の3年間を振り返っていく。

金沢監督の指導で素質が開花 夏までに高校通算61本塁打
普段は物静かで優しい青年だが、181センチ85キロという恵まれた体格、二の腕の太さや太ももの太さを見ると、やはり威圧感がある。ベンチプレス130キロ、スクワット220キロと強靭な筋肉を持つ細川。細川はこの3年間、パワー強化と強靭なパワーを生かすための技術習得に時間をかけてきた。

いわきシニアから明秀日立に進んだ細川。入学当時から長打力には自信を持っていたが、バットに当たる確率が低く、空振り三振も多かったという。だが、光星学院時代、坂本 勇人(現・巨人)、北条 史也(現・阪神)など数多くの強打者を育て上げてきた金沢 成奉監督の指導で、少しずつミートする確率が高まり、自慢の長打力も見せ始める。

「中学の時は本当に上半身だけで打っている選手でした。しかし金沢監督から下半身の使い方や股関節をうまく使うことを教わり、打撃フォームが固まってきました」
またタイミングの取り方も学んだ。細川のスイングを見ると、振り幅が大きいスイングをしている。これは細川に限らず、明秀日立の選手にみられるスイング軌道だが、このスイングでボールをしっかりとコンタクトするには、振り遅れないことが大前提となる。そのために始動を早くすること。投手が投げたボールを長く見られるように自分なりのタイミングを掴んできた。

そしてようやく本塁打を量産するようになったのは2年春から。レギュラーを獲得した細川は2年春の関東大会で本塁打を放つ。
「自分にとって公式戦初本塁打で真っすぐを打ったと思いますが、自分でも驚きの一発でした」
本人にとって嬉しい一発。これで弾みがつくと思われたが…。チーム内で不祥事が起こり、2年秋まで対外試合禁止により秋の公式戦まで出場ができなかった。それでも地道な練習を積み重ねていく細川。

本塁打量産ペースが一気に加速するのは3年春になってからだ。今年の3月、岐阜県で行われた「高校野球フェア」では6試合で本塁打を5本打つ。相手は中京大垣日大県立岐阜商といった岐阜県上位のチーム。そのチームのエース格から打ったのだから、価値が高い活躍であった。

「あの時、ボールも見やすい状態で、さらにうまく力が抜けていて、素直にバットを出したら本塁打になっていました。それぐらい調子が良かったです」と振り返った細川。指揮官もナインも、「化けたぞ!」と驚きの大爆発だった。

そこから練習試合で本塁打を量産する細川。3年春から投手を始めて、投打の柱として臨んだ地区予選では2試合連続本塁打を放ち、県大会出場。しかし、県大会2回戦で石岡一に0対7で敗れ関東大会出場を逃し、さらに夏はノーシードで迎えることとなった。

早期敗退の結果に、選手たちはもう一度自分たちの弱点を見つめなおした。細川は「自分が打たれて負けてしまったので、投手としての実力も磨くことを決めました」と、日々の投球練習では下半身を使うことを意識して投げ込み。大会前には、座らせて200球も投げこんだ。
そして夏までの練習試合で本塁打をさらに量産して、夏の大会を迎えるまでに高校通算本塁打は61本に達した。

最後の夏は自分の打撃ができなかった
最後の夏に突入。1回戦で古河三と対戦したが、この試合は大苦戦。細川は4回裏、無死満塁の場面で登板。1点は取られたが、夏までに磨いてきた140キロを超える速球でピンチをしのぐと、その後は安定したピッチングで点を与えない。7回に追いついた明秀日立は、延長10回表、糸野 雄星の本塁打で勝ち越しに成功した。1回戦に辛勝すると、2回戦では春に敗れた石岡一と対戦。先発した細川は、自慢の速球で、4安打完封。見事にリベンジを果たしたのであった。

その後もエースとして快投を見せる細川だが、打撃の方はなかなか当たりがでず、無安打の試合が続いた。不調の要因として細川は
「打撃フォームを崩していて、ボールの見え方も良くなく、力んでいたと思います。試合の中で修正をしていきました」
細川らしい豪快な当たりを見せたのは準々決勝の水城戦だった。夏1号となるレフト方向への特大本塁打を放つ。そして準決勝の霞ヶ浦戦でも右中間へ一発。だんだん調子を上げていったが、決勝の常総学院戦では鈴木 昭汰の前に抑え込まれ、無安打。あと一歩で甲子園を逃し、細川の夏が終わった。

坂本は技術で飛ばす選手。細川は純粋に遠くに飛ばす選手
夏が終わり、すぐにプロ志望を決断した細川。ドラフトまで、自分の打撃フォームを見つめなおし、そして打撃練習はすべて木製バットで行う。また走り込みやウエイトトレーニング、スクワットといったトレーニングを連日行ってきた。

夏以降、だんだん調子を上げて、木製バットでも本塁打を打てるレベルに達している。取材日ではロングティーの様子を見せてもらったが、細川はレフト線から打って、バックスクリーン近くまで当たり前のように飛ばし、何球かは、バックスクリーンを超える打球を打った。細川の隣では、大学で野球を続ける同学年の選手が打っていたが、なかなか飛ばせない。当たってもライナー性の打球が中心。細川は放物線を描いて、遠くまで飛ばすのだから、ロングティーを見るだけで天性のスラッガーであることが分かる。181センチ85キロという体格や、太い二の腕、太ももを見てしまうとさらに期待が膨らむ。

そんな細川に、最後にプロ入りへ向けての目標像を語ってもらった。
「まずはプロで通用する打者になること。そしていずれは日本を代表する4番打者になりたいと思います」
細川の成長を見守ってきた金沢監督は細川についてこう評した。

「入学当時の彼はまだプロへ行ける選手ではなかったですね。ただ、飛ばす力はあったので化ければすごい選手になるという期待はありました。なかなか化けずに終わってしまう選手が多い中で、彼は見事に化けてくれた。彼の強みは飛距離があり、逆方向にも本塁打が打てることですね」

細川の長打力については、教え子である坂本 勇人選手を凌ぐものがあるという。
「坂本の場合、技術力が優れた選手でヒットの延長が本塁打になる選手でした。細川は、技術は坂本より劣りますが、単純にパワーが凄くて、どこまで飛ばすんだと思わせるぐらいです。パワーに関しては今までの教え子の中でも一番じゃないですか」
これまで多くの強打者を見てきた金沢監督が評するのだから、細川の将来性に期待したくなるだろう。
「粗削りですけど、本当に飛ばす選手なので、見ている方からすれば楽しい選手であることは間違いありません」
スラッガータイプは時間はかかるけれども、はまったときの爆発力は脅威だ。細川もこの3年間、指揮官とチームメイトを驚かせる一発を見せてきた。今度は横浜DeNAファンを興奮させるスラッガーになるべく、まずは二軍本拠地・横須賀で腕を磨いていく。
(文=河嶋 宗一)

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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