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中日ブルペンのリーダーに! 藤嶋健人が高校時代に語っていた「熱すぎるチーム愛」

2023.11.28


11月26日、中日の藤嶋 健人投手(東邦)が契約更改交渉を行い、2400万円増の7000万円で更改した。
藤嶋は今季、チーム&自己最多の56試合に登板し、防御率は驚異の1.07。夏場には28試合連続無失点を記録するなど、安定感抜群の投球を見せ、チームの勝ちパターンで投入されるセットアッパーになった。「殻を破れた気がする」と藤嶋は来季への自信をのぞかせた。
そんな藤嶋の高校2年冬に行ったインタビューを再掲載する。ドラゴンズのブルペンリーダーになれそうな責任感の強さを感じる言葉が並んでいる。彼のリーダーシップが低迷を続ける中日の起爆剤になることを期待したい。
(インタビュー初掲2015年12月21日)

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投打ともに才能が高く評価され始めている東邦藤嶋 健人投手。1年夏に甲子園に出場し、140キロ台の速球を投げ込み鮮烈なデビューを飾った藤嶋。2015年夏は甲子園出場を逃したが、主将でエースとなったこの秋は、東海大会優勝を果たし、明治神宮大会出場。明治神宮大会では初戦の秀岳館戦で2失点完投、2本塁打を放つなど、投打で活躍を見せた。今回は、全国でも注目度の高い藤嶋に、これまでの大会の振り返り、さらに2016年に向けての意気込みを伺いました。
無我夢中で投げた1年夏
東三河ボーイズ出身で、入学時から最速140キロ。打撃力もあった藤嶋は入学時から注目されていた。
そしてその名が全国的にクローズアップされたのは1年夏の豊川戦。豊川はその年の選抜ベスト4という強敵だった。この試合、どんな意気込みで臨んだのだろうか。
「高校に入って最初に臨む夏の大会。相手は選抜ベスト4ということで、すごい相手とやらなければならないと思いましたが、マウンドを任されている以上、1年生とか関係なく、攻める気持ちでいこうと思っていました」
攻める気持ち。それは東邦の森田 泰弘監督が評価している部分でもある。
「大舞台でも動じず、そして強い敵になれば燃える闘争心。これはなかなか身に付けるのが難しいのですが、藤嶋は最初からそれが備わっていましたし、大事な試合でも任すことができました」と絶大な信頼を置く。
藤嶋は持ち前の強気の投球で常時140キロ台の直球とキレのあるスライダーで押すピッチングを見せる。とても高校1年生とは思えない素晴らしい投げっぷりに、豊川打線は封じ込められた。そんな1年生投手の快投に打線も応え、3回表に2点を先制。4回裏に1点を失ったが、その後も打線は藤嶋を援護した。6対1で迎えた9回裏に2ランホームランを打たれたが、3失点完投。
選抜ベスト4・豊川の春夏連続甲子園出場を阻止したのが1年生投手ということもあって、藤嶋の名が大きくクローズアップされた。
藤嶋の快投はなおも続く。決勝の栄徳戦で先発すると、初回から全力投球。
「ダメだったら3年生の大井 友登さんに頼むしかないと思ったので、それまではいけるところまでいこうと思いました」
その心がけが良かったのかは分からないが、藤嶋はこの試合も140キロ台の直球を勢いよく投げ込んでいき、何と栄徳打線から11三振を奪い、2失点完投勝利で、チームを2008年以来の夏の甲子園出場に導く。まさに立役者ともいって良い活躍を見せたのだった。
1年生ながら常時140キロ台連発するなど、ここまでのスピードボールが投げられたのは木下達生コーチの指導があった。
「入学時はただ投げていただけだったのですが、木下コーチから投球のこと、フォームのこと、トレーニングのことまで様々なことを教えていただき、成長できたと思います」
入学時からの成長と、夏の愛知大会で掴んだ自信を胸に藤嶋は1年生ながら甲子園のマウンドに臨んだのであった。
迎えた甲子園。1回戦の日南学園戦で先発のマウンドに上がった藤嶋。甲子園のマウンドに立つ前は緊張していたが、森田 泰弘監督から「負けてもいいから楽しんで来い」と声をかけられて楽になった。
マウンドから見える甲子園の景色は、テレビで見るものとはまた別物だった。「気持ちよかったですね」と振り返る。
ピッチングを振り返れば、甲子園でも愛知大会と同様、140キロ台の直球、スライダーのコンビネーションで日南学園戦では8回3失点の好投を見せる。打ち取るたびに雄叫びを上げる姿が話題になったが、藤嶋自身は意識して声を上げたわけではなかったようだ。
「自分は気持ちを込めて投げるタイプなので、自然と声を上げていたのだと思います」
続く日本文理戦では5回まで無失点の好投に抑えていたが、6回に集中打を浴びて逆転を許し2回戦敗退となった。
甲子園2試合の投球から、1年後、2年後の成長が楽しみという声が多くあがった。しかし夏の甲子園が終わってから1年間は、苦しい投球が続いた。

東海大会優勝につながったカットボール習得
秋季県大会3回戦では誉に0対1で敗れ、春の選抜を逃すと、夏でも渥美農戦では勝利したものの7失点、準決勝では中京大中京に打ち込まれコールド負けを喫し、安定感抜群だった1年夏と比べると「らしくない」内容だった。
このままでは甲子園に行けない…。そう思って藤嶋が取り組んだことはストレートのコントロール力のアップとカットボールの習得だった。夏が終わってから木下コーチと二人三脚で、自分が意図したところへ投げるために取り組んだのはフォームの修正だ。
「映像を見ると力一杯に投げようとして、球離れが早いフォームになっていましたので、その修正をしました」と打者寄りで離せるように修正に努めた。
またカットボールを習得したい意図は、左打者の内角へ厳しく攻められるボールが欲しかったからだ。握りは東邦の先輩で、2016年度のドラフト候補として期待がかかる丸山 泰資から教わり、ストレートと同じ腕の振りで投げる練習を繰り返していった。さらに「相手打者に直球を絞らせない」配球にもこだわった。
カットボールを習得したことは藤嶋の投球の幅を大きく広げ、冷静に投球ができるようになった。
「この場面はストレートで押すのか、変化球で交わすべきなのか、カットボールを投げて打ち取るべきなのか。意図通りの投球ができるようになったと思います」と語るように安定したピッチングで、3回戦の高蔵寺戦で1失点完投勝利、準決勝の栄徳戦では2失点完投で東海大会場を決める。そして決勝の享栄戦では2失点の好投。ここでも完投勝利を収め、県大会優勝を果たす。
そして東海大会でも安定したピッチングは続く。準々決勝では岐阜中京と対戦。中京は高校通算45本塁打の今井 順之助を1番で送り出す。が、この起用に藤嶋は逆に燃えた。自慢のストレートと、そして新チームから磨いてきたカットボールで今井を封じ込む。そのカットボールのキレは素晴らしく、対戦した今井も「ベース半分、曲がってきて、あれはカットボールじゃないですよ!」と驚くほどだった。
とにかく抑えることを考えて投げていた藤嶋は、7回参考記録(奪三振8、108球)のノーヒットノーランを達成。しかし「試合後にそれに気付きました」と語るほど、この試合藤嶋は集中して投げていた。
そして準決勝は、勝てば選抜へ大きく前進するこの試合でも、藤嶋は好投。この試合、最速146キロを計測したストレート、スライダー、カットボールのコンビネーションで被安打6、1失点に抑える。見事決勝進出を果たし、選抜へ大きく前進したのである。そして決勝では、いなべ総合を破り、明治神宮大会出場を決めた。
課題克服に取り組んだ秋は東海大会優勝と最高の結果を残すことができたのであった。

最高の仲間たちと共に目指すのは全国制覇
そして臨んだ明治神宮大会1回戦明治神宮大会では強打者揃いの秀岳館と対戦。1番松尾 大河、4番九鬼 隆平といった主力打者とは中学時代に対戦をしている。
「中学に対戦した時は打たれた思い出しかありませんが、今やると案外抑えられるじゃんと思いながら投げていました」
秀岳館は藤嶋対策として、マシンを150キロに設定して、さらにスライダーを打つ練習を重ねて大会に臨んだが、藤嶋は力ではなく技で抑えにいく。球速が140キロを超えることは少なかったが、スライダー、カーブなど変化球を多用して抑えた。8回表には甘く入ったストレートを捉えられ、同点とされてしまったが、その裏、藤嶋が自らのバットで勝ち越し2ランを放ち、2失点完投勝利を挙げた。この試合、9安打を打たれたが、走者を出しながらも抑えたことで、さらに評価を高めた藤嶋。
「監督さんからは、走者を出してもいいけど点は与えるなと言われているので、そういう意味で、走者を出しても粘り強く投げられたのは良かったと思います」
と振り返った。そしてこの試合、二打席連続本塁打を放ち、高校通算37本塁打まで上乗せしたが、藤嶋自身は、それほど打者にこだわりはないという。
「4番打者として強く振るだけです」と話す藤嶋だが、実際にはスイングの強さは光るものがある。
1本目は1ボールからの2球目だった。甘く入った変化球を逃さず、豪快な本塁打。そして2本目は初球から打って、またも豪快な本塁打となった。秀岳館バッテリーは藤嶋を警戒して、初球はボールゾーンの変化球から入ったが、「あれはストライクでした」と振り返るように藤嶋にとって得意球だった。明治神宮大会の活躍により、さらに注目を集めた藤嶋。
秋が終わり、藤嶋は今、「ストレートの質」を向上させることに取り組んでいる。
「甘く入ってもファールになるようなストレートを投げていきたいと思っています」
そのため現在は肉体改造中だ。176センチ77キロだが、体重を80キロまで高めたいと思っている。そして1年秋の取材で語ってくれた「目標150キロ」に近づきつつあるが、藤嶋自身、スピードだけではなく、全体的なレベルアップを果たしたいと考えている。
「上の世界で活躍するために、投球の基礎がしっかりとできていないとダメなので、そういうところを突き詰めていきたいと思っています」
さらに、主将を務める藤嶋は、チームの成長についても手応えを感じている。
「全員、意識が高いですし、みんなで野球をやっている感じがあります。投打ともに力のある選手が揃っていますし、試合中の雰囲気もとても良いです」
そんな思いにさせたのが東海大会決勝戦だった。藤嶋は初回に6点を先制されたが、打線が盛り返し、最後は追いついてサヨナラ勝ちで東海大会優勝を決めた。
「あの時は点を取られても焦る雰囲気は全くなかったです。頼れるし、最高の仲間たちです。そんな仲間と全国制覇を目指したいです」
最後に、2016年の意気込みを聞いた。「1年生の時はただ思い切り投げていただけでしたが、もし選抜に出場することができたら、周りが見えて大人になった投球を見せたいと思っています」と決意を語った。甲子園デビューから1年半。試行錯誤を重ねながら、一回りも成長した姿を披露したい。
(取材・文/河嶋 宗一)

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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