試合レポート

【九州】東海大福岡が7年ぶりセンバツに前進 最速142キロの長身右腕が熱投 「自分がやってやろう」<秋季地区大会>

2023.11.01


<秋季九州大会:東海大福岡10-8延岡学園>◇31日◇準々決勝◇小郡球場
激戦区・福岡を21季ぶりに制して九州大会に出場した東海大福岡。初戦の九州学院には10対8で勝利すると、準々決勝・延岡学園も10対8と打ち合いの末に勝利を手にし、センバツ出場へ大きく前進した。

東海大福岡は2回に7番・井上 和翔捕手(2年)の適時打で先制すると、3回には一挙5得点。指揮官・中村監督も「出来過ぎでした」と最高の形で試合の主導権を握った。ただ中盤以降は苦しい時間が続くなかで7対3で迎えた8回、エース・佐藤翔斗投手(2年)が、この試合3度目となる無死満塁のピンチを招いた。延岡学園ペースになりかねないところだったが、佐藤は2つの三振と味方の好守もあって何とか2失点でまとめた。

最終回も3失点をしたものの、10対8で7年ぶりのセンバツに大きく前進した東海大福岡。注目された延岡学園の投手陣から10安打放った打線は見事だったが、エース・佐藤の投球も見逃せない。
新チームからエースナンバーを背負った180センチを超える長身右腕は、「今日は『自分がやってやろう』と思って、最後までマウンドを譲るつもりはありませんでした」と大一番を前に気合は十分だった。

癖の少ないバランスの取れたフォームから最速142キロのストレート、そして武器であるスライダーを軸にした組み立てで、序盤は素晴らしい投球。中盤以降は苦しい投球が続いたものの、粘り強く投げたエースに、女房役・井上は「マウンドで修正をしてくれたのでピンチを乗り切れた」と称賛の声を送った。

新チームを発足して以降、「ブルペンでは1球ずつ考えて、同じミスを続けないように練習してきた」と目的意識をもって投げてきたことだが、そのなかで磨いたのは、この試合でも光ったスライダーだ。
延岡学園戦、鋭いキレで多くの空振りを奪っていたスライダーだが、最初から得意だったわけではないという。だからこそ、新チーム発足してまもなく旧チームのエース・西村健投手(3年)から「とにかく腕を速く振る」ことをアドバイスしてもらった。というのも西村が使っていたスライダーは速く鋭く変化しており、スライダーに自信がなかった佐藤にとって真似したいものだった。そのために必要だったのが腕を速く振って強くリリースすることだった。

そのためにも、まずは「どの球種を投げる時も同じ振りにしないといけない」ということで、ストレートを投げるときから速く振ることを意識。地道な積み重ねだが、習慣化されたころにはスライダーは速く鋭く変化するようになり、佐藤を支える武器になった。今ではカウントに応じて投げ分けることもできるようになり、自由自在に投げられる。佐藤の投球の軸になっている。そして、この試合でも「スライダーはストライクゾーンに決まっており、良かったと思います」とキャッチャー・井上も納得の出来で、佐藤の投球を支えた。次は大分の強豪・明豊が相手だ。強敵を相手にどんな投球を見せてくれるのか。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.05.26

【春季近畿大会】大阪学院大高のプロ注目ショート・今坂幸暉は3打数無安打。「第1打席がすべて」と悔やむも好守備に手応え

2024.05.26

【春季関東大会】超強力打線・帝京の快進撃が止まる! 白鷗大足利の山口・昆野を攻略できず、13年ぶりの夏への課題は「大黒柱の育成」

2024.05.26

【宮城】仙台育英が投打に圧倒して5大会連続28回目のV<春季県大会>

2024.05.26

【佐賀】佐賀北、龍谷、佐賀商、鳥栖工が4強入り<NHK杯>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.05.22

【春季関東大会】センバツVの両エース打ちで勝利に貢献!逆転タイムリー放った池田翔吾(常総学院)は指揮官も絶賛の打棒の持ち主!

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商