【九州】東海大福岡が7年ぶりセンバツに前進 最速142キロの長身右腕が熱投 「自分がやってやろう」<秋季地区大会>
<秋季九州大会:東海大福岡10-8延岡学園>◇31日◇準々決勝◇小郡球場
激戦区・福岡を21季ぶりに制して九州大会に出場した東海大福岡。初戦の九州学院には10対8で勝利すると、準々決勝・延岡学園も10対8と打ち合いの末に勝利を手にし、センバツ出場へ大きく前進した。
東海大福岡は2回に7番・井上 和翔捕手(2年)の適時打で先制すると、3回には一挙5得点。指揮官・中村監督も「出来過ぎでした」と最高の形で試合の主導権を握った。ただ中盤以降は苦しい時間が続くなかで7対3で迎えた8回、エース・佐藤翔斗投手(2年)が、この試合3度目となる無死満塁のピンチを招いた。延岡学園ペースになりかねないところだったが、佐藤は2つの三振と味方の好守もあって何とか2失点でまとめた。
最終回も3失点をしたものの、10対8で7年ぶりのセンバツに大きく前進した東海大福岡。注目された延岡学園の投手陣から10安打放った打線は見事だったが、エース・佐藤の投球も見逃せない。
新チームからエースナンバーを背負った180センチを超える長身右腕は、「今日は『自分がやってやろう』と思って、最後までマウンドを譲るつもりはありませんでした」と大一番を前に気合は十分だった。
癖の少ないバランスの取れたフォームから最速142キロのストレート、そして武器であるスライダーを軸にした組み立てで、序盤は素晴らしい投球。中盤以降は苦しい投球が続いたものの、粘り強く投げたエースに、女房役・井上は「マウンドで修正をしてくれたのでピンチを乗り切れた」と称賛の声を送った。
新チームを発足して以降、「ブルペンでは1球ずつ考えて、同じミスを続けないように練習してきた」と目的意識をもって投げてきたことだが、そのなかで磨いたのは、この試合でも光ったスライダーだ。
延岡学園戦、鋭いキレで多くの空振りを奪っていたスライダーだが、最初から得意だったわけではないという。だからこそ、新チーム発足してまもなく旧チームのエース・西村健投手(3年)から「とにかく腕を速く振る」ことをアドバイスしてもらった。というのも西村が使っていたスライダーは速く鋭く変化しており、スライダーに自信がなかった佐藤にとって真似したいものだった。そのために必要だったのが腕を速く振って強くリリースすることだった。
そのためにも、まずは「どの球種を投げる時も同じ振りにしないといけない」ということで、ストレートを投げるときから速く振ることを意識。地道な積み重ねだが、習慣化されたころにはスライダーは速く鋭く変化するようになり、佐藤を支える武器になった。今ではカウントに応じて投げ分けることもできるようになり、自由自在に投げられる。佐藤の投球の軸になっている。そして、この試合でも「スライダーはストライクゾーンに決まっており、良かったと思います」とキャッチャー・井上も納得の出来で、佐藤の投球を支えた。次は大分の強豪・明豊が相手だ。強敵を相手にどんな投球を見せてくれるのか。