足首の硬さと腰痛【セルフコンディションニングお役立ち情報】
腓腹筋のストレッチ(上)とヒラメ筋のストレッチ(下)
皆さんは両足をそろえた状態からしゃがみ込むとき、かかとを浮かせず、後ろに体勢が崩れることなくできるでしょうか。しゃがみ込むとかかとが浮いてしまったり、バランスがとれずに後方にこけそうになってしまったりする人も中にいることと思います。足首の硬さは体の柔軟性とも関連がありますが、身体的なコンディションだけではなく環境の変化が影響していることも指摘されています。普段の生活では椅子に座ることが多く、直接床に座って正座やあぐらをかく機会が減ってきました。またトイレも洋式トイレが主流となり、深くしゃがみ込む和式トイレは使いづらいという人も増えてきました。このような生活環境の変化が柔軟性低下の背景にあると考えられています。
足首が硬いと足関節捻挫へのリスクが高まりますが、それだけではなく、膝や腰、肩・肘といったさまざま部位のケガにつながることがあります。腰痛に悩む選手の中には「以前に足の捻挫をしたことがある」「足首が硬い」というケースがしばしば見られます。足首は体を支える土台であり、足首が硬いと、地面からの衝撃を吸収するクッション機能が低下し、その上部にあたる荷重(かじゅう)関節(=体重のかかる関節)を中心に大きな外力がかかりやすくなります。さらに足首の背屈(足の甲を手前に引き寄せる動作)の制限が見られると、反り腰の姿勢になりやすく、腰椎に大きな負担がかかります。病院での検査では異常が見つからないのに腰の痛みが続くいわゆる「腰痛症」は、腰背部や股関節周辺部の筋緊張・筋疲労などが主な要因として考えられますが、足首についてもその柔軟性や動きなどを確認しておく必要があります。
足首の柔軟性を高めるためにはまず足首周辺部の筋肉にアプローチしましょう。ふくらはぎのストレッチ(腓腹筋・ヒラメ筋の2パターン)とともに、足の甲部・すねの部分を伸ばすストレッチも合わせて行うようにします。足の甲部やすねの部分はなかなか伸ばしにくい部位の一つですが、入浴時に浴槽内で正座をすると浮力が働いて比較的楽に行うことができます。この他にも足指と手指が握手するようにそれぞれの指の間にはさんでお互いを握り、もう片方の手で足首を抑えながら、ゆっくり足首を回すことも足首の硬さの改善につながります。以前捻挫をして足首を回すと痛みがある場合は、無理に回すことは避け、ゆっくりと足首を前後・左右等、痛みのない範囲で動かすようにしましょう。
足首の硬さが腰痛につながることも考えられるので、腰背部とともに足首周辺部のストレッチやエクササイズなど、自分でできるセルフコンディショニングもあわせて行っていくことが大切です。
文:西村 典子
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