試合レポート

【栃木】決勝 作新学院 vs 白鷗大足利

2023.10.02


小川 哲平(作新学院)

勝負強さを見せた作新学院、白鷗大足利から4点差を逆転して2年連続優勝

<第76回秋季栃木県高校野球大会:作新学院6-4白鷗大足利>◇1日◇決勝◇宇都宮清原

夏は2度、春も1度の全国制覇の実績があり、栃木県を代表する名門校の作新学院。昨年秋も県大会を制し、今春のセンバツにも出場している。今年の秋季関東大会は地元開催ということで、栃木県1位校となるとスーパーシードとなり、2回戦からの登場で、1つ勝つとセンバツ出場がほぼ確実となるベスト4になる。それだけに、是非ともスーパーシードの得られる1位校としての出場を果たしたいところであろう。

白鷗大足利は、前日の準決勝では今夏の代表校の文星芸大附に快勝しての決勝進出である。2014年春以来のセンバツ出場も視野に入れての戦いとなっていく。今大会ではここまで、宇都宮商、宇都宮北、佐野、そして文星芸大附を下しての決勝進出である。

白鷗大足利はエースで4番の昆野 太晴投手(2年)、作新学院小川 哲平投手(2年)と、ともに背番号1を背負い、直球は140キロ半ばを記録するスピードを誇る注目の投手同士の先発となった。ロースコアの投手戦が予想されたが、2回、白鷗大足利は四球と小林 翼外野手(2年)の二塁打で1死二、三塁として、7番・松浦 舜内野手(2年)のスクイズで先制した。さらに、3回にも1番・浦野 航輔外野手(2年)以下、篠原 飛羽内野手(2年)、杉山 歩夢外野手(2年)、昆野と4連打で2点を奪った。そして、4回に下位打線が2安打して1死一、三塁として、内野ゴロの間に三塁走者が生還して4対0と白鷗大足利がリードした。

予想とは、やや異なる展開となっていって、作新学院は3回までは3人ずつで抑え込まれ、4回に初安打が出たものの得点には至らなかった。それでも5回、1死から6番・岩出 純捕手(2年)が中前打すると、続く土井 雄一郎内野手(1年)の中越え三塁打で1点を返し、さらに山田 瑞希内野手(1年)の犠飛で2点差とした。これで、ようやく作新学院打線は目覚めたという感じになったといえようか。

グラウンド整備を挟んで6回、白鷗大足利の攻撃を小川が3人で抑えると、その裏、1番からの作新学院は一気に逆転した。

この回から代わった山口 幸大投手(2年)に対して、途中出場の小川 亜怜外野手(1年)が二塁へ緩い打球だったが、ヘッドスライディングで内野安打とすると、続く齋藤 健之介内野手(2年)も内野安打で一、二塁。内野ゴロで二、三塁として、4番・柳沼 翔内野手(1年)が一、二塁間をしぶとく破って1点差。なおも1死一、三塁で、北村 飛成内野手(1年)の内野ゴロの間に三塁走者がかえり、ついに同点とした。さらに、岩出も左前打と続いて二塁から柳沼がかえり、ついに逆転となった。

7回にも死球と小川哲の二塁打で1死二、三塁として、1番に入っていた小川亜の左犠飛で6点目を奪った。そしてこのリードを8回からは斎藤 奨真投手(1年)、小池 柊聖投手(2年)、石毛 虹晴投手(2年)と3人の継投で守り切って作新学院が逆転での優勝となった。前半の展開からは、思いもよらないような展開の逆転劇だった。改めて、栃木県を代表する伝統校で王者ともいえる作新学院の勝負強さを見せつけたかのような試合でもあった。

作新学院の小針崇宏監督は、試合をこう振り返っていた。

「課題の多い試合でした。安打数も相手の方が多いし、強い打球や当たりのいい打球も相手の方が多かったですね。昨日もそうでしたけれども、エンジンのかかりが遅いというか、こう言ったら言葉はよくないですが、負け試合に近い展開でした。5回の2点で、何とか勢いづいて流れを持ってこられた。それと、不安のあった守りでミスがなく、よく守ったのが大きかった。実は、この1週間守備の練習を増やしたのですが、その成果が出たのかもしれません」

作新学院としては2年連続18度目の優勝で、26回目の関東大会進出となったが、今年は地元開催でもあり、関東大会ではスーパーシードを得ることになった。2年連続の甲子園出場にも近づけたといっていいであろう。また、白鷗大足利は、2年ぶり6回目の関東大会出場となる。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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