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プロ志望の151キロ右腕・古谷龍之介(東北学院大)、努力が実りラストシーズンはキャリアハイ

2023.10.02


大学ラスト登板で快投した東北学院大・古谷龍之介

プロ志望届を提出している東北学院大のドラフト候補右腕・古谷 龍之介投手(4年=北星大附)が、9月30日の東北福祉大戦で敗れたものの9回11奪三振無四球1失点と好投した。リーグ戦で2ケタ三振を奪うのは初で、6回以上を投げ無四球も初めて。古谷にとってはこの日が大学ラスト登板となったが、最後に集大成と呼ぶにふさわしい投球を披露した。

磨き上げた球質と投球術

身長173センチ、体重68キロで、最速は高校時代に計測した151キロ。「豊作」と評される今秋ドラフト候補の大学生投手の中では体格や球速こそ目立たないが、プロを含めてもトップクラスの回転数を誇る直球と変化球の質は目を見張るものがある。変化球の球種も2種類のスライダーにカーブ、カットボール、ツーシームと多彩だ。

また、最大の強みはゲームメーク能力の高さ。試合で大崩れする姿は、ほとんど目にしたことがない。リーグ戦通算成績は20試合、128.2回を投げ5勝6敗、防御率2.52、105奪三振、54与四死球。すべて先発で、クオリティスタート(6回以上を自責3以内)が12試合、ハイクオリティスタート(7回以上を自責2以内)が8試合を数えた。大差がついて早期降板した試合が複数あることを考えると、ほぼ毎回先発の役割を果たしていたと言えるだろう。

中でも力を発揮したのが仙台大、東北福祉大の「2強」を相手にしたマウンド。仙台大戦は5試合(40回)に登板して防御率は4.05ながら、うち4試合はクオリティスタートで4年時には2勝をマークした。東北福祉大戦は5試合(35.2回)に登板して未勝利に終わったが、防御率は1.51。仙台六大学屈指の強打者たちを苦しめてきた。

高校時代から動画を見ながら投球フォームの研究をするなど勉強熱心な性格で、新型コロナの影響でリーグ戦が中止となった1年春や、ケガで離脱した2年秋も工夫を凝らしたトレーニングを怠らなかった。

4年時は巨人、西武で捕手としてプレーした星孝典新監督から配球の大切さを教わった。試合前は対戦チームの各打者の動画を入念にチェック。打者の傾向と自らの球種を照らし合わせ、攻め方を明確にイメージした上でマウンドに上がることを心がけた。投球術にも磨きがかかり、安定感はさらに向上。大学ラストシーズンの4年秋は2勝、防御率1.47、与四死球率2.70といずれもキャリアハイの数字を残した。

プロの世界で「勝てる投手」に

「育成指名でもプロにいきたい」。大学進学前から抱いていたプロへの思いは、4年経っても変わらなかった。東北学院大出身の現役NPB選手は楽天・岸 孝之投手(名取北出身)、西武・本田 圭佑投手(東北学院出身)の2人で、ここ5年間はドラフト指名選手が出ていない。それでも古谷は常々、「プロにいけるかどうかは自分次第。大学の名前は関係ない」と口にしてきた。その言葉通り、常に進化を続けてきた。

東北福祉大戦でのラスト登板後、古谷は大学4年間を振り返り「リーグ戦で、ある程度結果を残せたことは評価できる。最後も良いピッチングができた」と胸を張った。その一方、「『勝てる投手』には程遠いと思う」と通算5勝にとどまった悔しさもにじませた。

「ピッチャーは、勝ってなんぼなので」。理想の投手像は、日本最高峰の舞台で体現してみせる。

(取材=川浪康太郎)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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