試合レポート

東京六大学選抜vs北関東選抜

2023.07.02


近野歩飛と中川海

163センチの快速右腕、大学から投手を始めた140キロ左腕が好投 神奈川選抜は敗れるも爪痕残す

<体育会ナビカップ 関東JUNKOオールスター大会2023:東京六大学選抜5ー0神奈川選抜>◇1日◇予選リーグ◇福島・さつき公園第一野球場

 関東JUNKOオールスター大会2023が6月30日に開幕した。関東大学準硬式野球連盟に所属する5リーグそれぞれで選抜メンバーを編成し、各選手の交流とともにNo.1を決める大会。1日は予選が行われたが、東京六大学選抜が北関東選抜に続き、神奈川選抜にも勝利した。

 東京六大学選抜は8回に4点を記録するなど、終盤に集中打を見せる強さを発揮したが、神奈川選抜も7回までは0対1の接戦を演じてみせた。

 原動力になったのは、神奈川大のWエース・近野 歩飛投手(3年=)、中川 海投手(4年=)である。

 「フォームの安定性には自信があるので、逆にフォームをあまり意識しない」という右スリークォーターの近野は、身長163センチと上背そのものは決して大きくないが、大きなテークバックを取るなど、ダイナミックなモーションから、キレのいい球を投げる。東京六大学選抜を4回まで無安打に抑え込むなど、先発として十分な役割を果たした。

 これまでずっと投手で、気になる変化球があれば果敢に挑戦するなど投球に対する好奇心は旺盛で「試合で投げるのが好きです」と話すほど。私生活でも寝るところに球があり、寝る前に触ってしまうというくらい。最速139キロとスピードで勝負するには少し難しいが「スピードよりもキレをずっと大事にしている」と空振りが奪える直球を常に求め続け、勝てる投手になろうと意識している。

 時代の先輩がいて、ケガをしたこともあり準硬式の道に進んだが、「色んな大会に参加することで、様々な人たちと交流ができている」と充実の表情を浮かべる。

 そんな近野の後ろを継いで登板した「先輩」である中川は、力投派タイプの投手。時代に比べ体重が増え、がっちりとなった体型を使って、重みのある速球を次々と投げる。エラーなども絡んで、ヒット1本で1失点してしまったが、最速140キロを計測する直球を軸に、東京六大学選抜に挑んだ。

 時代は主に一塁手、もしくは外野手だったが、神奈川大へ進学して準硬式を始めてから本格的に投手になった。野球肘になったこともあり、準硬式では直球は122キロくらいと、順風満帆なスタートではなかったが、フォームを変えたことで大きく成長できた。

 「元はインステップしたところからスリークォーターで投げる横回転のフォームだったんですが、オーバースローで縦回転に変えたんです。インステップを直しつつ、ステップ幅を広げるようにしたことで、フォームを覚えることができました」

 当時は、オーバースローに修正しているタイミングだったことも重なり、足元を見直してフォームをしっかりと修得することができた。さらに体重増加もプラス材料となり、球速を18キロもアップさせることに成功し、最速140キロまでたどり着いた。

 「公立校出身でも活躍できる環境があるぞ」と最後はメッセージをもらったが、中川自身は3年生の時には主務の役職も任されるなど、主力投手でありながら、チーム運営にも携わった苦労人だ。

 163センチの小さき右腕、さらに大学準硬式から本格投手となった140キロ左腕などを擁する神奈川大。秋のリーグ戦以降の戦いが楽しみである。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ優勝の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?