ヤクルトは大卒7年目のドラ2右腕と新守護神左腕が奮闘中
明治大時代の星 知弥(宇都宮工出身)
プロ野球の開幕から約1カ月が経とうとしているが、開幕から好調をキープしている選手は多い。まだシーズンの行方を占うには早すぎるが、開幕ダッシュに成功した選手を確認しておきたい。
セ・リーグ3連覇を目指すヤクルトは、開幕から20試合を終えて10勝9敗1分と貯金を1つ作り、首位争いを演じている。打撃面では苦しんでおり、昨シーズンの三冠王である村上 宗隆内野手(九州学院出身)は打率1割台でホームランもわずかに2本だけ。また山田 哲人内野手(履正社出身)や塩見 泰隆外野手(武相出身)といったレギュラー陣も戦列を離れていることで、破壊的な打撃は影を潜めている。ここまでの20試合で2ケタ安打が1度もないことからも、それが見て取れる。
それでも首位争いができるのは、投手陣の踏ん張りがあるからだ。なかでも星 知弥投手(宇都宮工出身)の活躍が目覚ましい。2016年ドラフト2位で指名を受け、明治大からヤクルトへと入団した星は、これまで確固たる実績を残すことができなかった。昨シーズンも7試合の登板で防御率4.38。大卒ドラフト2位の7年目として物足りなさは否めない。
しかし今年はオープン戦で3試合に登板し3回パーフェクトピッチング。奪った三振は6個と圧巻の投球を見せた。この勢いは開幕してからも止まらない。ここまで9試合(7回)に登板し防御率1.29。奪った三振も投球回数以上の10個と、奪三振能力もオープン戦時から極端には落ちていない。
開幕ダッシュに成功しただけでなく、大きな変貌を遂げたと言っても過言ではない。すでに試合終盤の緊迫した場面での起用もあり、今後も同様の投球が続けば勝ちパターンに定着することもありそうだ。
守護神に抜擢された田口 麗斗投手(広島新庄出身)も好投を続けている。ここまで9試合の登板で失点を喫したのは1試合だけ。その他の7試合は無失点で切り抜け、セーブあるいはホールドを記録している。マクガフが退団したことで空席となった守護神の座を見事に射止めた。
先発投手では来日3年目のサイスニードがカード頭の火曜日を任され3連勝中。すべてQSを達成しており防御率も1.02と安定した投球が続いている。
チームが、今後シーズンを走り抜けるためには打線の奮起が絶対条件。暖かくなり打線が上向くまで、投手陣が踏ん張ることができるだろうか。
※数字は2023年4月25日終了時
(記事=勝田 聡)