軟球と硬球の違いと体への影響
わずかな重さの違いであっても肩や肘には負担がかかりやすくなることを覚えておこう
新入生の中には高校野球で初めて硬球(硬式ボール)に触れる選手もいるのではないかと思います。軟球(軟式ボール)から硬球へと使用球が変わると重さや大きさに戸惑う選手も少なくありませんが、十分な移行期間をとりながら少しずつ慣れていくようにすることが大切です。
●ボールの違いは重さと硬さ
中学生が扱う軟球M号の重さは136.2~139.8g(全日本軟式野球連盟公認球)、一方高校野球などで使用される硬球は141.7g~148.8gと決められており、その重さの違いは1.9~12.6gとなります。わずかな重さの違いかもしれませんが、ボールを投げる動作を頻繁に繰り返すと肩や肘に負担がかかることも考えられます。特に野球は反復動作が多く、同じ動作を繰り返すことで局所に負担が集中してケガをしやすい特徴があります。プレー時にはさほど負担を感じなくても、練習後や翌日以降に「肩や肘が重い、違和感がある、痛い」といったことが起こりがちですので、練習量や練習の負荷は段階的に上げるようにしましょう。肩や肘に痛みや違和感があるときは、ムリをせずにしばらく投球を控えるようにすることも大切です。また硬球は軟球に比べて硬く、当たると大きなケガにつながりやすいこともその特徴として挙げられます。デッドボールや自打球などでもかなりのダメージを受けますので、初めて硬球でプレーする選手にとっては、慣れるまでは怖さがあるかもしれませんね。
●練習量とセルフコンディショニング
スポーツドクターの提唱するケガ予防のための指針(日本臨床スポーツ医学会学術委員会の提言)としては、
・中学生、高校生においては、週1日以上の休養日をとること
・中学生では1日70球以内、週350球を越えないこと。高校生では1日100球以内、週500球を越えないこと
・練習前後には十分なウォームアップとクールダウンを行うこと
といったことが述べられています
(参考ページ:青少年の野球障害に対する提言:日本臨床スポーツ医学会のサイトより)
中学時代に比べて高校野球では上級生(新2年生、新3年生)の体力基準にあわせた練習が行われているため、新入生にとっては練習量や練習強度が体力レベルにあっていないことも考えられます。また成長期の体は骨と筋肉の成長に時間差があり、体の柔軟性が低下してしまう時期でもあります。オーバーワークによるケガを防ぐためにも、練習量や練習強度は少しずつ上げていくようにし、練習前後のストレッチやウォームアップ、クールダウン等、自分でできること=セルフコンディショニングを日々の習慣として実践していくようにしましょう。
文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!