緊張や力みを抑えたい
力みを最小限に抑えて、よりよいパフォーマンスを目指そう
試合では適度な緊張感を持ちながらプレーすることが望ましいといわれますが、緊張しすぎてしまうと焦ったり、力んだりして思うように体が動かなくなることがあります。気がついたらあっという間に試合が終わってしまった…といった経験はありませんか? 自分の持てる力を十分に発揮するためにも緊張や力みは上手にコントロールしたいものです。
自分でもわかるほど緊張している場合は、まず深呼吸をしてみましょう。私たちの体は二つの交感神経と副交感神経という自律神経によって制御されていますが、緊張状態は交感神経が優位に働いている状態です。ここで深呼吸をする、特に息をしっかりと吐くことが副交感神経を刺激し、気持ちを落ち着かせて冷静さを取り戻すことにもつながります。また息を吐くことは体の重心を下げることにも役立ちます。「浮き足立つ」という表現があるように、緊張すると体が何となくフワフワとした感覚にとらわれがちですが、こうしたときにも息を吐くことで地に足をつけて、落ち着きを取り戻すようにしてみましょう。
また「打席に立つとつい力んでしまう」という選手は打席に立つ前の準備として、一度肩に力を入れてシュラッグ(肩をすくめる動作)を行ってみましょう。3秒ほど力を入れたら息をフッと吐きながら力を抜きます。これを2~3回繰り返すようにすると肩の力みが取れて、肩の僧帽筋周辺がリラックスします。筋肉をあえて緊張させると、その後は力が抜けやすいことを利用したコンディショニング方法(筋弛緩法)です。肩に限らず、体の力みは「アクセルを踏みながら(力を出したい)、ブレーキを踏んでいる(力を入れている)車」のようなもの。ブレーキとなる力みを取り除くことでより大きな力を発揮することができるようになります。息を吐くことでも力みをとることができます。
重要な試合になればなるほど、「いいところを見せたい」「いい結果につなげたい」という思いが強くなり、緊張したり、余計な力みを生んだりしがちです。自分の持てる力を十分に発揮するためにも、呼吸やコンディショニング方法にも着目してみてくださいね。
文:西村 典子
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