試合レポート

世田谷学園vs早稲田実業

2022.10.23

進撃の世田谷学園!二見 被安打3の完封で関東一に続き早稲田実業も撃破

世田谷学園vs早稲田実業 | 高校野球ドットコム
世田谷学園・二見純太

<秋季東京都高校野球大会:世田谷学園3-0早稲田実業>◇22日◇3回戦◇スリーボンドスタジアム八王子

 世田谷学園は2回戦で関東一を破り勢いに乗っている。ただ、その一方で、気持ちが浮かれ、スキができた選手がいて、特別に朝練をするなどして、気持ちを締めた。エース・二見 純太投手(2年)も関東一相手に完投勝利を挙げ、浮かれた気持ちを締め直してこの一戦に臨んだ。

 この日の二見の投球は圧巻だった。ピンチらしいピンチと言えば、1死後、5番・石原 優成外野手(1年)に二塁打を打たれた2回表くらい。この時も後続をしっかり抑え、得点を与えなかった。3回以降は三者凡退が続き、早稲田実業打線を抑える。最速は120キロ台と言うが、左の横手投げからキレのある球を投げ、球速以上の球威を感じる。実際、早稲田実業の打者が差し込まれる場面が何度かあった。それに、世田谷学園の投手が伝統的によく投げるスライダー、カットボールが効果的であった。

 二見は1次予選では状態が悪いということで、ほとんど投げなかった。「トルネード気味のフォームから普通の投げ方に戻すところでした」と二見は言う。自分のフォームを撮影した動画をチェックしながら、フォームを修正。ヒジの位置を上げるなど、工夫しながら築いたフォームが、都大会に入り威力を発揮。徐々に調子を上げていったのだった。この試合で二見は3安打、1四死球、4奪三振の完封という完璧な内容だった。
 守りのヒーローがエースの二見なら、打のヒーローは2番の加川 大海外野手(2年)であった。

 加川は3回裏に1死二塁から二塁打を放ち世田谷学園が先取点を挙げた。5回裏には1死一塁から三塁打を放ち1点を追加。さらに3番・井波 晃大外野手(2年)の左前安打で加川も生還している。世田谷学園の得点もこの3点だけで、加川は全得点に絡んだことになる。「あの子はすごくまじめな子です。気持ちは練習の時から入っていました」と世田谷学園の成瀬 智監督は言う。

 一方、早稲田実業は、本来のエースである齋藤 士龍投手(2年)が4番・右翼手で出場していたが、故障で投げられない状態だという。「うちはピッチャーがいない。3点に抑えたのはいい方です」と早稲田実業の和泉 実監督は苦しい胸中を語った。また攻撃陣にも、二見攻略の指示は出し続けたが、この日の二見の投球は手の付けようがないほど素晴らしかった。結局3対0で世田谷学園の勝利。早稲田実業が完封で負けるのは珍しいだけに、「選手は悔しいと思います。練習をしっかりするしかありません」と和泉監督は語った。

 勝利の瞬間、大きくガッツポーズをした二見は、「強い相手に完投、完封をしましたが、スキを作らず、自分のピッチングをして、ロースコアでも勝つことができればと思っています」と語り、試合後は次の試合に向けて気を引き締めた。準々決勝では、またも強豪の二松学舎大附との対戦になる。「世田学旋風」がどこまで続くか、注目の一戦になる。

(記事=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾は昨夏甲子園優勝バッテリーがスタメン!初回から4番・江戸 佑太郎の1発などで3点を先制!【香川招待試合】

2024.06.08

夏の神奈川に集った逸材野手20人! 横浜、東海大相模、桐光学園を中心に全国トップレベルが揃う【神奈川注目野手リスト】

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・近畿地区】近畿一番乗りの抽選は17日の大阪、4府県が7月6日に開幕

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・北信越地区】新潟で21日に抽選会、7月5日の富山で組み合わせが出揃う

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.02

【鹿児島NHK選抜大会】神村学園が期待の2年生エース・早瀬の完投勝利で決勝進出!

2024.06.02

福岡に逸材現る! ケガから復帰後即144キロ! 沖学園2年生エース・川畑秀輔に注目だ!

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得