聖光学院vs九州学院
名将も「1人だけレベルが違う」と太鼓判 聖光学院・山浅龍之介がプロ入りへ快音響かす
聖光学院5番・山浅 龍之介
<とちぎ国体:聖光学院6-4九州学院>◇2日◇1回戦◇清原球場
2日開幕したとちぎ国体は、2019年に茨城県で開催された国体以来となる3年ぶりの開催。日曜日開催ということもあってか、スタンドには大勢の観客が駆け付けた中で、夏の甲子園4強・聖光学院(福島)が九州学院(熊本)との開幕戦を制した。
聖光学院が得点を記録した5度のイニングのうち、4度は5番捕手・山浅龍之介(3年)が絡んだ。先日、プロ志望届を提出し、自身の進路を決める上では最後のアピールの場となる大会で、初戦から快音を連発。3打数3安打1打点と両チーム唯一の猛打賞を記録した。
タイミングを取る際にテークバックを引くことなく、バットの位置をぴたりと止まったまま軸足に重心をかけて、最短距離でミートさせていた。無駄をそぎ落としたシンプルな構えで快音を響かせたが、下半身の使い方で成長を見せた。
振りだす際に下半身主導で動き出すことができていたため、フォームの中に少しの間が生まれていた。「甲子園までの打ち方では間がなかったため、上のレベルでは通じないと感じていました」と、最後の夏を通じて明確に感じていた課題だった。下半身の使い方を見直してきたことで、第1打席も低めの変化球に対して「泳がされることなく、しっかりと見て捉えられた」と成長を実感する1本だった。
指揮官の斎藤監督も「1人だけレベルが違う」と太鼓判を押し、「右足の母指球で我慢できているので、壁ができて、バットを内側から出せていますね」と更なる成長を肌で感じ取っていた。
イニング間のスローイングも1.8秒前後(手動計測)をマーク。攻守でレベルの高さを見せていた。国体という舞台を通じて、どれだけアピールできるか。
(記事=田中 裕毅)
[page_break:三冠王・村上宗隆の弟・慶太も国体で快音 NPB入りへ猛アピール]三冠王・村上宗隆の弟・慶太も国体で快音 NPB入りへ猛アピール
タイムリーでガッツポーズする九州学院・村上慶太
<とちぎ国体:聖光学院6-4九州学院>◇2日◇1回戦◇清原球場
聖光学院の前に終盤で突き放された九州学院。夏の甲子園のリベンジに燃えていたが「あと一歩及びませんでした」と指揮官・平井監督は悔しさを見せていた。
ただプロ志望届を提出し、注目が集まった村上慶太内野手(3年)は2安打3打点、しかも、左翼席へ公式戦通算7本目となるホームランを放つなど、アピールには成功した。
聖光学院・山浅は「夏の甲子園でもひっかけることが多かった」という外角中心の配球で攻めたものの、この試合は捉えられ、甲子園からの進化を感じたとともに打席でのオーラも違ったという。
村上本人は「どこに対してもフルスイングすることはもちろんですが、外角に対してはレフト方向に打つことを心掛けています」。常に素直に打ち返すことは意識しているが、「甲子園ではうまくできなかった」と振り返る。
その結果に悔しさを感じ、「何かを変えないといけない」と危機感を覚え、新チームの練習にまじってティー打撃などで、とにかくフォーム改善に着手した。
構えた際にあまり動かず、グリップの位置を高めてミートポイントまでロスなく最短距離で叩くこと。この2つに焦点を置いて取り組んできた。また「普段から木製バットを使っている」と、インサイドアウトでバットを出すことを継続してきたことで、対応力が高まるだけではなく、逆方向にも飛ばせていると分析する。
平井監督は村上の姿を見て「重圧からも解放されて、継続してきたことが少しずつつかみつつあると思います」とさらに才能が開花しつつあることを予感していた。村上は今後に向けて「全方向に長打が打てることや、チームバッティングができるのが強みだと思いますので、あとは守備などフットワークをしっかりして、より一層いい選手になれるように頑張ります」と意気込んでいたが、さらに成長した姿をどこで見せてくれるのか。
この試合の翌日、「宗にい」と慕う兄・宗隆は三冠王、そして日本人最多本塁打の56号に到達した。さらに注目度は増したが、村上慶太の成長からも目が離せない。
(記事=田中 裕毅)