東海大菅生vs日大豊山
東海大菅生 日當の好リリーフで日大豊山の追い上げをかわし初戦突破!
東海大菅生・日當直喜
<秋季高校野球東京都大会:東海大菅生7-5日大豊山>◇9日◇1回戦◇八王子
試合前のシートノックから日大豊山の背番号20に観客の視線が集まった。水泳との二刀流で話題の光永 翔音だ。身長190センチ。水泳で鍛えた肩幅の広さは、中堅手としてノックを受けていても目立つ。この夏の高校総体では、100メートルバタフライやリレー種目で優勝し、高校総体後は、野球に力を注いでいる。北海道などでは、夏場に野球、冬場にアイスホッケーの選手として活躍したケースはあったが、水泳と野球となると、異例中の異例だ。光永はベンチスタートで試合が始まった。
日大豊山は、エースの井上雅也、東海大菅生は背番号11の末吉陽輝が先発のマウンドに立った。
1回表、日大豊山の1番・谷川翔太郎は東海大菅生の三塁手・大島 健真の失策で出塁する。1年生ながらスタメン出場を果たした大島健であるが、最初の守備機会で失策したため、この試合では精彩を欠いた。
出塁した谷川はいきなり盗塁をしたが、東海大菅生の北島 蒼大は強肩でスローイングがよく、二塁盗塁は失敗する。日大豊山の福島直也監督は、「攻めの姿勢を示すためです」と、いきなり盗塁した理由を語る。
その積極姿勢が物を言い、二死後、3番・谷口光陽が内野安打で出塁すると、4番・高山凌平が死球で一、二塁とし、5番・上野 竜仙の左前安打で谷口が生還し、日大豊山が先取点を挙げた。
メンバーの多くが入れ替わったとはいえ、東海大菅生は強力打線だけに1点ぐらいのビハインドはものともしない。その裏、東海大菅生は一死二、三塁から4番・新井 瑛喜の中犠飛であっさり同点に追いつく。その後、内野安打と四球で満塁となり、7番・大枡 凌央の中前安打で2人が生還し逆転。さらにワイルドピッチや9番・末吉の左前適時打、1番・沼澤 梁威の二塁打などで東海大菅生はこの回6点を入れた。
それでも日大豊山は、2回表は二塁打の7番・佐藤 優斗を9番・山本 悠人のスクイズで還す。そして2回以降は日大豊山の井上が立ち直り、走者を出しても東海大菅生に追加点を許さない。
そして4回表、日大豊山は二死一、二塁から1番・谷川の左前安打で1点を返す。ここで東海大菅生は投手を島袋 俐輝に交代する。しかし島袋のワイルドピッチで三塁走者に続き、二塁走者も生還し日大豊山は1点差に迫る。
やや荒れ気味の試合を落ち着かせたのは、5回から登板した東海大菅生のエースの日當 直喜だった。日當は5回表、日大豊山の6番・辻 奏太の打球を膝に受け、仰向けに倒れてヒヤリとしたが、投球に支障はなかった。
日當は夏の大会より球威が増し、エースとしての貫禄も出てきた。
東海大菅生は、5回裏にも1点を追加し、7-5。東海大菅生が勝ち2回戦に進んだ。ただ東海大菅生は勝ったものの、内容的にはピリッとしなかった。「経験者が少ないので、仕方ないのかな」と若林弘泰監督は語った。それでも5回から登板した日當がエースの自覚を感じさせる投球で勝利を収めたのは収穫であった。
なお日大豊山は9回表一死一塁から代打に光永を起用した。光永は二ゴロの併殺に終わった。日大豊山の福島監督は光永について、「野球を一生懸命やる子です」と語る。光永は試合後に涙を流し、「悔しいです」と言葉少なに語った。水泳では高校生の頂点に立った選手だ。この勝負への強い思いは、日大豊山の野球部にとって、大きな刺激になるのではないか。
(記事=大島 裕史)