試合レポート

山村学園vs西武台

2022.09.26

西武台の驚異的な粘りで壮絶な試合も、最後は山村学園が物にし準決勝進出!

山村学園vs西武台 | 高校野球ドットコム
勝利した山村学園

<秋季埼玉県高校野球大会:山村学園9-7西武台(延長11回)>◇25日◇準々決勝◇レジデンシャルスタジアム大宮

 壮絶な試合であった。

 [stadium]レジスタ大宮球場[/stadium]の第2試合は、シード校・山村学園対強打の西武台との一戦である。この対決は今夏も準々決勝でぶつかったばかり。その時は7対5で山村学園が勝利しており、西武台にとってはリベンジマッチとなる。

 

 スタメンでは、西武台の前の試合との変更点は、7番に守備力を買われ檜田 陸真内野手(2年)が入り、前回9番の土田 浩次郎捕手(2年)が8番に打順を上げる。一方の山村学園は前回3番の高野 壮瑠内野手(2年)が1番に上がり、前回1番の三上 颯太外野手(2年)が6番に入る。前回6番の藤原 将輝外野手(1年)が3番に打順を上げる。

 そして先発は、山村学園が前の試合に続き、右サイド・鹿島 駿吾投手(2年)、一方の西武台
「伊藤で行く予定でしたが、雨で1日空いたので迷いました」(河野監督)
と、エースの大山 英一朗投手(2年)が登板し試合が始まる。

 ゲーム前半から山村学園ペースで試合が進む。

 山村学園は初回、やや球が上ずる西武台・大山の立ち上がりを攻め先頭の高野が中前安打を放ち出塁すると、続く今岡達哉内野手(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・藤原がきっちりと外野フライを放ち二走・高野は三塁へと進めると、続く加藤 大輔内野手(2年)の二塁へのゴロが、タイムリーエラーとなり幸先良く1点を先制する。

 すると、山村学園打線はこれまで苦しんできたことが嘘のように、ここから一発攻勢に出る。

 山村学園は3回表にも、1死から2番・今岡が右翼席へソロ本塁打を放ち1点を追加すると、4回表にも、この回先頭の三上が左翼席へソロ本塁打を放つ。共に公式戦初本塁打となる一発が飛び出し3対0とする。

 これで流れをつかんだ山村学園は、5回表にも2死から4番・加藤が左前安打を放ち出塁。その後6番・三上の四球などで2死満塁とチャンスを広げると、続く山﨑 一真内野手(2年)が右中間へ走者一掃となるタイムリー三塁打を放ち6点差をつけ、コールドペースに持ち込む。

 投げては、先発・鹿島が3イニングをノーヒットに抑えると、4回からは2番手・1年生左腕の西川 歩投手も3イニングを内野安打1本に抑える投球を見せる。

 試合はこのままの流れで終わるかと思われた。

 だが、8回裏、西武台打線が脅威的な粘りを見せる。

 西武台打線が7回からマウンドに上がった、山村学園の3番手・1年生右腕の青木 孔志投手を攻め立てる。この回先頭の土田が左中間への三塁打を放ち出塁すると、これが導火線となり1死後、1番・太田 誉内野手(2年)が中前適時打を放ちまず1点。さらに続く神杉 勇波外野手(1年)も左前安打を放ち1死一、二塁とすると、3番・金田 幸大内野手(2年)も四球を選び1死満塁とチャンスを広げる。続く杉本 誉士外野手(2年)のところで捕逸で1点を追加。さらに杉本の打球は右翼前へのライナーとなる。右翼手は追いついたかに思われたが、打球をこぼす間に2者が生還し(記録は二塁打)6対4とすると、さらに5番・渡邉 楽意外野手(2年)が左翼席へ値千金の同点2ランを放つ。

 西武台が6点のビハインドを一気に追いついてみせた。

 こうなると裏攻めの西武台が一気に有利な展開になるかと思われたが、試合は延長戦へ進む。

 延長に入り、先に勝ち越したのは山村学園であった。

 10回表、この回先頭の山﨑が左翼線へ二塁打を放ち出塁すると、続く山田 拓海捕手(2年)がきっちりと送り1死三塁とする。ここで9番・青木がきっちりと犠飛を放ち1点を勝ち越す。

 だが、西武台はその裏、この回先頭の金田が右前安打を放ち出塁すると、続く杉本のところで西武台ベンチがエンドランを仕掛ける。杉本はこれに見事に応え、無死一、三塁とする。ここで5番・渡邉がきっちりと犠飛を放ち同点とすると、続く塚本 悠真内野手(2年)の所で、一走・杉本が二盗を試みる。これが捕手の悪送球を呼び1死三塁と一気にサヨナラのチャンスを得る。結局、塚本は四球を選び1死一、三塁とすると、代打・森内諒(2年)も申告敬遠で歩き1死満塁とチャンスを広げる。だが、8番・土田は強烈な当たりであったが投直に倒れ併殺で絶好のサヨナラのチャンスを逃す。

 すると、流れは山村学園へと傾く。

 11回表、この回先頭の鈴木 大和内野手(1年)が遊撃への内野安打で出塁するが、盗塁は失敗に終わる。それでも、続く加藤が再度四球を選び出塁すると、5番・橋本 大外野手(2年)が一塁強襲の二塁打を放ち1死二、三塁とする。ここで、続く三上が右中間へ2点適時三塁打を放ち勝負あり。

 最後は、青木が西武台の反撃を無失点で切り抜ける。結局、山村学園が延長11回の大激戦を9対7で制し準決勝へ駒を進めた。

 夏のリベンジに燃える西武台の8回の猛攻は鬼気迫るものを感じた。だが、7回まで1安打に抑えられたことも事実だ。また、押せ押せの10回裏は、あと一歩及ばなかった。痛かったのは、序盤簡単に得点を与えてしまったことであろう。

「前半に打てない試合が続いていたので、慌てはしなかったんですけど、主導権を握りたかった。余計な点が入り過ぎていたんで。それでも終盤に粘りを見せてくれたんで、このまま終わる子達ではないとは思っていましたが、こいつら凄いなって思いながらやってました。ただ、勝ち切れなかった。ライナーバックは常々言っていたんですができないのは練習不足。一、三塁の時点で満塁策などもありましたし、もう少し冷静にやっていたらなと。勝って成長したかった」(河野監督)
と、初回のエラーで流れを失うと、大山も一発を浴びるなど、結果的に夏の同じような展開になってしまった。主砲・金田もこの日はやや勝負を避けられてしまった。課題である投手陣の整備が春以降の課題であろう。

 一方の山村学園はこの日、青木がやや誤算であった。一時コールド勝ち寸前までいきながらのまさかの展開に岡野監督も
「2回諦めました。三上は今まで全然打てていなかったんですが良く打った。雨などもあり軽めの練習しかできなかったので夏の疲れも抜けてきて、打線も振れてはきている」
と、苦笑いもチームの状態にそれでも最後の一線は越えさせなかった。打線は今岡、三上から本塁打が飛び出すなど、打線もやや上り調子である。

 とはいえ、次の相手は浦和学院だ。苦戦は必至だ。
「浦学とやりたかったので、こんなに浦学と戦うのに前向きなのは初めてです。もうやっつけなきゃって思いが強いので。やられてもいいので前向きに」(岡野監督)
と、対浦和学院戦の初勝利に闘志を燃やしている。鹿島、西川は安定しているだけに、打線が浦和学院投手陣の相手にどれだけ打てるのかが鍵となる。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.14

広島「今季新戦力の現状通信簿」、新外国人の復活はなるか!?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?