準硬式の全国4強入りを果たした帝京大にいた最速144キロの3年生右腕
帝京大・山崎陽平
23日に開幕していた文部科学大臣杯第74回全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)。全国各地の精鋭が持てる力を存分に発揮し、大会は大いに盛り上がりを見せた。そのなかでベスト4まで勝ち進んだのは、帝京大だった。
初出場ながら全国の猛者を倒す快進撃に注目度が高まったが、3年生右腕・山崎 陽平投手(横浜隼人出身)の活躍は今後への期待を膨らませた。
準々決勝・大阪商業大との試合では、最速142キロを計測する直球を軸に、3回で3奪三振のピッチングを見せた。ワインドアップからダイナミックかつ滑らかなモーションから鋭く腕を振り抜いた。本人曰く、「大谷 翔平さん(花巻東出身)や山本 由伸さん(都城高出身)を真似したりしました」とモデルとした投手の真似をしたことで、現在に至ったようだ。
初の全国でも堂々とした投球で打者を圧倒できていることに「楽しいです」と満面の笑み。現在の充実感が表情からも伝わってくるが、準硬式を始めるにあたって、決して高い志があったわけではなかった。
高校は強豪・横浜隼人出身。最後の1年間は2ケタ番号でベンチに入るものの、大会成績は3回戦が最高成績。自身の登板は秋季大会で1回のみ。ベンチ入りするためにサイドスローに転向し、ベンチ入りはつかんだものの、厳しい練習を積み重ねても最速130キロまでしか伸ばせず、思うように成長ができなかった。そんな現実に「引退したころは練習量に対して結果が出ず、楽しくなかった」とネガティブな印象しかもっていなかった。
ただ「今は嫌いだと思うけど、入学して少し経つと何もない生活はつまらないし、絶対にやりたくなる」という先輩の助言も聞き、楽しむ程度という思いで準硬式を選択した。入部してから初めて球を握るなど、まったく知らない状態で入部をしたものの、次第にのめりこんでいく。
「グラウンドはなし。人工芝のアメフト場が練習場で、マウンドがないことを知った時は『まじかよ』と思いました。ただ秋に135キロを計測した時に、楽しくなってきました。
自分の理想のフォームで投げるために、どんな練習が必要なのか。こなすメニューの意味を理解して、考えて取り組んでいく。自分のやってきたことが間違いないと、135キロを出した時に確信してからは、高い意識をもって練習をすることができたので、144キロに届きました」
高校時代で限界を感じていた山崎にとって思わぬ成長。しかも練習量、練習環境も大きく変わった大学準硬式で成長できただけではなく、「縁がないと思っていた」という全国の舞台で緊迫感を味わえる。しかもベスト4という結果を残せているからこそ、「楽しいです」と純粋に野球を楽しめている理由だった。
まだ3年生の山崎。あと1年でどれだけの投手に伸びるのか。大学準硬式の今後を担う右腕の成長を期待したい。