痛みのある状態でのプレー
痛みは体からのSOSサインであることを忘れないようにしよう
皆さんは「痛み」を我慢しながらプレーしたことはあるでしょうか。トレーナーとしては痛みを抱えたままプレーをすることは決して勧められるものではありませんが、実際には「公式戦だから」「トレーナーなど頼れる専門家がいないから」「痛くてもできるから」という理由で、プレーする選手は少なくありません。
痛みは腫れや出血などに伴う炎症症状の一つですが、人それぞれ感じ方が違うという特徴があります。選手が「このぐらいの痛みなら大丈夫です」という「このぐらい」が当人にしかわからないため、見た目に大きな変化がなく、本人も「大丈夫」と言っているからプレーを続行するといったケースは多いと思います。ただし痛みは体からのSOSサインであることを理解しておく必要があります。特にどんどんと痛みが強くなるものを無視してプレーを続けると、やがてプレーそのものができないほど大きなケガにつながってしまうこともあります。
痛みを軽減させる手段の一つとして、痛みを起こす動作を制限するためのテーピングやサポーターをつけることが挙げられます。患部に対する不安感を取り除き、プレーができるようにするものですが、こういった装具などを用いる場合は医師やトレーナーなどの専門家に相談して正しく使用することが大切です。また痛み止めなどのお薬は薬局などでも購入できますが、薬による痛みのマスク作用(隠してしまうこと)によって患部をより悪化させてしまう心配もあります。使用法については自己判断せず、医師や薬剤師さんに相談の上、適切に使うようにしましょう。
デッドボールなど突発的なケガ(スポーツ外傷)による痛みは、発症後およそ2~3日(48~72時間)が痛みのピークといわれ、その間に患部を氷などで冷やすアイシングを実施すると炎症症状をおさえて痛みを軽減させることにつながります。ただし痛みが時間とともに強くなる場合や、痛みとともに腫れや変形など通常の状態とは明らかに異なっている場合、頭頸部などの外傷はすみやかに医療機関を受診して、医師の診察を受けるようにしましょう。
文:西村 典子
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