オーバートレーニング症候群の兆候を知ろう
新学期からしばらく経ち、心身ともに疲れが出やすい時期。新入生は特に気をつけよう。
新学期が始まってからしばらくたち、新しい環境にもなれてくると、気持ちにも「なれ」が生じてちょっとしたスキや油断がケガのもととなることもあります。一方で今まで緊張した状態で「がむしゃら」に部活動に取り組んできた新入生などは、蓄積された疲労がだんだんと体を傷めつける状況になっているかもしれません。5月から梅雨時期にかけてはコンディションを整えることに苦労する時期であるともいえるでしょう。
こうした時期に入って気をつけたいものの一つが慢性疲労症候群、いわゆるオーバートレーニング症候群です。公式戦前の強化練習であったり、週末ごとの遠征や練習試合の続くスケジュールは運動強度、運動量が上がりがちで、知らず知らずのうちに体に負担をかけていることがあります。オーバートレーニング症候群とは体力的・精神的疲労が十分に回復しないまま、ハードな練習等を繰り返すことによって起こる疲労状態のことです。
最初は「休んでも疲れがとれない」「いつも出来るプレーができない」といった小さな変化が見られ、次第に「体がいつも重い感じがする」「寝つきが悪く、寝不足気味」「朝起きてもスッキリしない」「食欲があまりない」「体重が減った」といった体調の変化となって現れるようになります。この状態が続くようであれば練習量や強度を軽くする等、練習内容を変更したり、しばらくは全体練習を休んで自分のペースで体調を戻すことなどを優先させたりするようにします。無理に練習を続けていると回復するまでにより多くの時間がかかり、競技を休む期間も長期にわたることが懸念されます。
オーバートレーニング症候群の指標としては起床時の心拍数、体重の減少などがわかりやすいと思います。心拍数は日頃から測定しておく習慣をつけておきたいものですが、1分間の心拍数が普段よりも10拍以上多い状況が数日続くようであれば、練習量や内容の見直しなど早めに対応することが大切です。スマートフォンの無料アプリには心拍数を測定できるものが多くありますので、一つの目安としてこうしたものを活用することも良いでしょう。体重も普段から起床時などに測定する習慣をつけておくと、疲労度の目安として活用することができます。見かけ上は元気に見えても、疲労の蓄積によって心身のコンディションが崩れ、適切な対応をとる必要がある選手は少なくありません。状況が悪くなる前に十分な休養をとり、心身のリフレッシュをはかってオーバートレーニング症候群を予防することが大切です。
文:西村 典子
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