試合レポート

前橋育英vs佐野日大

2022.05.22

まるで来田涼斗 前橋育英の強打者が通算15本塁打の先制打で勝利へ導く

前橋育英vs佐野日大 | 高校野球ドットコム
ホームランを放った前橋育英・岡田啓吾

<春季関東地区高校野球大会:前橋育英5-3佐野日大>◇21日◇2回戦◇宇都宮清原

 群馬1位の前橋育英と栃木2位の佐野日大の甲子園出場実績豊富な両チームの一戦は、前橋育英に軍配が上がる結果となった。

 8本のヒットに「好投手からも様々な方法で点数を取れるように、冬場で練習してきた」という走塁にバントなどの小技を絡めた攻撃で5点を奪取。中盤で主導権を握って勝利したが、3番・岡田啓吾内野手(3年)の活躍ぶりは際立つものがあった。

 初回、2死走者なしで最初の打席を迎えた際は「出塁することを意識しました」というものの、佐野日大先発・上杉 隼大投手(3年)の変化球を上手く拾った。変化球に態勢が崩され、タイミングが外されていたにもかかわらず、打球は伸びてライトスタンドまで。高校通算15本塁打となる先制ホームランでチームに勢いを与えた。

 身長175センチ、体重70キロとユニフォーム越しでも引き締まった体型であることはわかるものの、崩されても長打にできるパワーは冬場の取り組みが大きい。秋の時点では体重65キロ前後だった岡田は、オリックス・来田涼斗外野手(明石商出身)のようなパンチ力を求めて、体重増加に励んできた。学校の休み時間を利用しておにぎりやパンなど、常にお腹が空かないように間食を3、4回入れるなど、体重増加に努めてきた。

 おかげで体重70キロまで到達し、求めてきたパンチ力が身についた。そこに加えて「自分で最近意識していることでもあり、父からも教わっています」とフォームの中で、いかに割れを作るかを意識している。体力だけではなく技術的なレベルアップを図るために、ここでも来田を参考に、ゆったりと間を作って割れができるように工夫を施したという。

 こうしてフィジカル、テクニックの両方を、憧れの来田を追いかけて成長してきた結果が、この試合でのホームランだった。打席の中で見せるフルスイング。さらに毎打席はいるときに背中を大きくのけ反るルーティンは、まさに来田を彷彿とさせる。

 ショートの守備では、バッテリーの配球に合わせてポジショニングを変えつつ、スプリットステップで、素早く一歩目を出そうと取り組んでいた。

 群馬県大会でも好守を見せていたが、それはポテンシャルだけではなく、細かな工夫を凝らした成果であった。次戦以降もチームを好守で引っ張るつもりだ。

 試合は岡田のホームランで前橋育英が先制したものの追加点を奪うことができず、5回終わって1対0と投手戦になっていた。しかし6回に1番・横倉拓実外野手(3年)の内野安打などで無死満塁を作ったところで、押し出しをもぎ取るなど4点を追加。5対0と佐野日大を突き放した。

 7回、佐野日大の2番・丸山詩温内野手(3年)の一打などで3点を許したが、反撃を食い止めて、前橋育英が勝利をつかんだ。

(記事:田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?