【都市対抗】ルーキー4番の大阪桐蔭OBスラッガーが、2戦連発となるサヨナラ弾
古寺 宏輝(大阪桐蔭ー関東学院大ーHonda熊本)
<都市対抗野球:Honda熊本2-1セガサミー>◇8日◇準決勝◇東京ドーム
セガサミーナインの多くが膝をついて悔しがるなか、胸を張ってゆっくりとダイヤモンドを回った。決勝進出を決めるサヨナラアーチを放ったのは、Honda熊本(大津町・九州第1代表)の不動の4番、古寺 宏輝内野手(大阪桐蔭ー関東学院大)。ホームイン直後に、ナインの手荒い祝福にもみくちゃにされながら、最高の笑みを浮かべた。
「マジ、やばいっす!」
勝利インタビューで、古寺はそう叫んだ。これまでの3打席は三振、二飛、遊ゴと凡退。チームも8回までわずか3安打に抑えられ1点しか奪えなかった。ルーキーながら4番を任されている古寺も、なんとかしたかった。さらに1-0の9回表、二死走者なし。あと1人で勝利を手にする場面で同点弾を浴びて、ベンチも暗いムードになっていた。9回裏の先頭打者で打席に入っての3球目。振り抜いた打球が一直線にバックスクリーンへ飛んで行った。自分でも驚くほどの打球は、頼れる男としての意地の一振りでもあった。
準々決勝、3番・稲垣 翔太内野手(明豊出身)との2者連続アーチに続いて2戦連発だ。準々決勝は稲垣とのアベック弾の2点で勝利したが、結果的に2本目の古寺のソロが決勝点となっていた。この日もサヨナラ弾と、2戦連続の「決勝弾」。チーム19年ぶりの決勝進出は、4番のバットなしには達成できなかった。
大阪桐蔭時代は甲子園に3年春センバツに出場したが、自身は2試合1安打に終わった。甲子園常連チームの中軸を任せられながら結果を残せなかった男は、社会人1年目からエンジン全開。Honda熊本悲願の初優勝へ。大分県出身の古寺が3戦連発で頂点を奪い取る。
(取材:浦田 由紀夫)