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ソフトバンク「構想外」の川島&高谷に代わる人材がいるのか

2021.10.27

ソフトバンク「構想外」の川島&高谷に代わる人材がいるのか | 高校野球ドットコム
川島 慶三(佐世保実出身)

 世代交代の波がベンチの「裏方」を容赦なくたたきつけた。ソフトバンクのもうすぐ40歳になる捕手と、38歳のバイプレーヤーが、来季の「構想外」を通告された。ソフトバンクの強さを担っていた2人が、もうベンチからいなくなる。

 高谷 裕亮(ひろあき)捕手は、小山北桜から富士重工業に就職。プロ入りを目指しての社会人野球に飛び込んだが、膝をいため、腰痛もあり退社。それでも野球をあきらめずに一般入学で白鷗大に合格し、2006年大学・社会人ドラフト3位でソフトバンク入団した。苦労だけは人一倍してきた。捕手としてのインサイドワークは評価が高く、工藤監督となってから育成から成長した甲斐が一人前になるまでは頼れる捕手として存在感を高めた。「抑え捕手」の地位も確立させ、逃げ切り捕手としてなくてはならない存在になった。

 さらに、ムード―メーカーとして、ベンチの一番奥で声出していた人物でもあった。特に、キューバ助っ人が本塁打を打って、ベンチでハイタッチするときに、一番最後に、ボクシングのワンツーパンチを受けるパフォーマンスは、ファンの目に焼き付いているに違いない。高谷が故障で二軍生活中に他の選手が代役を務めることがあったが、しっくりこなかった。やはりこの男でないと、ベンチも盛り上がらなかった。

 川島 慶三内野手は佐世保実から九州国際大を経て、2005年に日本ハムにドラフト3位で入団。ヤクルト時代を経て、14年途中からソフトバンクに入団した。171センチ、74キロ。ユニフォームを脱げば、普通の人と間違ってしまうほどで、野球選手としては小柄である。それだけ、工夫をこらしてこの世界で生きてきた。オールドスタイルのユニフォームの着こなしで、バットを高く上げて大きく見せたり、声だしとチームの士気を高めるムードつくりに長けていた。松田とともに、工藤ホークスのベンチとしてはなくてはならない存在だった。さらに、打席に入ると左投手にはめっぽう強い。チャンスでの勝負強さはファンも熟知していて、困ったときの「けいぞーさん」だった。17年、DeNAとの日本シリーズは川島のサヨナラ打で日本一を決めた。

 ソフトバンクのベンチでは、川島がよく若手に後ろから声をかけている光景が見られた。ベンチではスタメン選手が前列で、控え選手は後ろに座るが、チャンスに打てなくて下を向いて戻ってきた選手や、エラーをして落ち込んでいる若手にそっと、うしろから声をかけ、寄り添い、励まし、前を向かせていた。プレーはしなくても、プレーをしている選手の背中にはいつも「けいぞーさん」がいたのだ。若手選手は心強かったに違いない。
 ヤクルト時代のチームメートのバレンティンが入団する際には、背番号4を譲って、自分は崖っぷちの「99」からスタートした。春季キャンプでは、若手よりも朝早く球場入りして、引退した長谷川とともに「朝練」に励んでいた。誰よりも経験があったのに、誰よりも練習していた。まだ、どこかチームで背中から声掛けや、代打の切り札として活躍できるのではないか。同じ九州人として頑張ってもらいたい。

 和田、松田とともに「おっさんず」をつくり、グラウンド外でも結束していた。和田ー高谷は「おっさんずバッテリー」として、また一味違った投球を見せていたが、それももう見られない。高谷については球団に残る道も提示されたようだが、あらゆるサポート役としてチームに残って再建に一役買ってもらいたいとも思う。

 ソフトバンクは工藤監督時代に黄金期を迎えたが、2人は間違いなく「脇役」としてなくてはならない存在だったが、工藤監督とともに球団を去ることになる。時代の流れで仕方ないとはいえ、組織にはこういう代わりの効かない「渋いヒーロー」こそ必要だと思っているのだが…。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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