試合レポート

日大一vs共栄学園

2021.07.23

日大一、序盤共栄学園・東野を攻略し5回戦進出!エース佐藤は自責点0の好投

 ちょうど半世紀前、日大一は第50回ら53回まで4年連続で甲子園に行き、「夏の一高」と呼ばれていた。近年はあまり結果を残していないが、今大会は3回戦で東海大高輪台を下すなど、復活の兆しをみせている。4回戦の相手は近年力をつけている共栄学園日大一は主将でエースで4番打者の佐藤 和輝がチームを引っ張る。共栄学園には東野 雄志という好投手がいる。

 好投手の東野だが、「立ち上がりに弱さがある」と共栄学園原田 健輔は言う。その懸念通り、日大一は立ち上がりを叩いた。1回表日大一は1番・鳥居隼人がライト線に二塁打を放つと、2番・福井 颯斗がしっかり送る。日大一はバントが堅実であり、伝統校らしさを感じさせた。続く3番・田﨑 啓史が右中間を破る二塁打を放ち、日大一が1点を先制。外野手の打球処理のミスもあり、田﨑は三塁に進む。4番・佐藤和は、ボテボテの遊ゴロだが、これがむしろ幸いし、田﨑が生還した。

 2回表日大一は6番・上原 光陽が左前安打で出塁し、7番・勝野 友貴のバントを共栄学園の東野がハンブルし無死一、二塁。これで東野は一旦マウンドを降り、左翼のポジションにつき、マウンドには遊撃手だった石黒颯斗が立つ。日大一は8番・高橋秀明が送り、9番・秋山 駿斗の中前安打で1点を追加。さらに鳥居の二ゴロの間に勝野も生還した。日大一は無駄のない攻めで序盤から主導権を握った。

 交代してすぐに適時打を打たれた石黒であるが、その後は日大一に得点を許さず、試合を締める。「運動能力が高く、ピッチャーの練習を始めたのは、6月くらいからです」と共栄学園の原田監督は言う。4回表に安打2本と1四球で一死満塁のピンチを招いたが、後続をしっかり抑え得点を与えない。以後は、ピンチらしいピンチはなかった。


 それでも日大一の佐藤和の投球は安定していた。4回にエラー絡みで1点を失ったものの、以後は走者を出しても、コーナーを突くストレートやカーブ、スライダーなどで得点を許さない。

 試合は4ー1で9回の攻防を迎える。9回表日大一の攻撃で共栄学園は左翼を守っていた東野をもう一度マウンドに戻した。東野は簡単に二死にした後、8番・高橋に対する2ボール2ストライクからの5球目、渾身のストレートを投げて三振を奪った。「高校最後の一球と思って投げました」と東野は言う。試合はそのまま4ー1で日大一が勝ち、5回戦に進出した。東野は大学に行って野球を続けるつもりだと言う。最後の気持ちを込めた一球は、将来性を感じさせるものだった。

 一方、主将でエースで4番打者の佐藤和について日大一の渡邉尚樹監督は「有言実行しています」と評価する。その佐藤をチーム全体で盛り立てる。伝統校らしい、高校野球の姿をみせている。ここまで3試合を1人だけで投げてきた佐藤和は、「目標としてきたベスト8まであと1勝です」と、5回戦に向けての決意を語った。「夏の一高」復活にOBらの期待も高まっているようだ。

(取材=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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