試合レポート

東海大相模vs中京大中京

2021.06.13

畔柳亨丞が復活!東海大相模も選手層の厚さを示す!

東海大相模vs中京大中京 | 高校野球ドットコム
先発・畔柳

 中京大中京vs東海大相模の一戦の前に、[stadium]岡崎市民球場[/stadium]は多くの観客で埋まった。中京大中京の先発・畔柳 亨丞は最速150キロ・最遅144キロ、平均球速147キロという高校生離れとした平均球速を叩き出した。畔柳の復活劇についてはまた詳報としてお伝えしたい。

 この試合、畔柳以外にも見所が多かった試合だからだ。

 まず東海大相模の先発・石田 隼都の投球内容はまだ試運転なイメージが否めず、常時135キロ〜141キロと決して速くはない。石田によるとまだ全力ではないようだ。

 カーブ、スライダー、チェンジアップを丁寧に投げ分ける投球が光った。投げあった畔柳は「石田投手はまだ全力ではなかったと思います。石田投手の良いのはチェンジアップだと思っていて、球速を抑えながらも、低めを丁寧に投げていて流石だなと思いました」と感心していた。石田は「自分は150キロを投げられる投手ではないですし、スピードよりもまず自分は勝ちたいです。自分の相手は畔柳くんではなく、中京大中京の打者です。0点に抑えたい気持ちが強いです。だから変化球を低めに抑えることを意識しました」

 初回にフルスロットルで投げる畔柳と比較すると、どこか力みが抜け、風格が感じられる投球内容だった。門馬監督は勝ちに徹する石田の投球を高く評価する。

 「あえて石田には『畔柳が投げるぞ!』と話していて、意識してスピードを出すのか、それとも勝ちに徹することができるのか、見ていましたが、スピードを意識セずに投げられて、ナイスピッチングだったと思います」

 2番手としてマウンドに登ったのは、求 航太郎(2年)。この試合は一塁でスタメン出場していたが、4回からマウンドに登った。求は大きく振り下ろすオーバーハンドで、常時135キロ前後・最速130キロ後半の速球とスライダー、カーブを集める投球。実に丁寧な投球ができていた。


]

東海大相模vs中京大中京 | 高校野球ドットコム
2番手・求航太郎(東海大相模)

 0対0でむかえた7回表に、二死三塁の場面で、5番小島 大河が左中間を破る適時三塁打を放つと、6番求 航太郎も適時二塁打。さらに7番仙庭 涼一郎も適時二塁打を放ち、一気に3点を先制した。小島はこの招待試合で計5打点目。スローイングも安定しており、神がかった勝負強さを見せている。さらに求も連日の大当たり。低めのボールにもしっかりと対応ができており、「なぜかよくわからないですけど、しっかりと当たるんです。もう少し1つボールだったら空振りかもしれませんが、とにかくボールがよく見えているのは間違いないです」

 今は振ればヒットが出る好調ぶり。構え方に大きな癖がなく、現在は高校通算7本塁打ぐらいだが、打者としてのポテンシャルはかなりのものがあり、求は投手の方が好きだが、これから二刀流としてますます活躍に期待がかかる選手だろう。

 8回裏には前日8イニングを投げた武井 京太郎は最速137キロのストレート、切れのあるスライダーで無失点に抑え、9回途中から三塁手の柴田疾がマウンドに登った。柴田は昨夏の独自大会でもマウンドに登った速球投手。自慢の強肩を活かした投球フォームから投げ込むストレートは常時130キロ後半〜144キロを計測。高回転の石田のストレートと比較しても、その威力はドラフト候補と呼べるものがあり、こんな選手を打撃専念のサードなのだから、改めて東海大相模の層の厚さを実感させられた。

 3対1で接戦をモノにした東海大相模。夏へ向けて引き出しが増えており、守り勝つチームであることは変わりないが、関東大会と比べても着実に進歩が見える試合だった。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得