常総学院の背番号1・大川慈英 Wエースから真のエースへ
常総学院先発・大川慈英
東農大二を破って関東大会ベスト8まで勝ち進んだ常総学院。打っては10対2の7回コールドと打線の状態は好調。次戦の花咲徳栄の強力投手陣を前にどういった攻撃を見せてくれるのか。勝敗の1つのポイントとなりそうだが、試合の主導権を握るためにも、常総学院エース・大川慈英の投球も大きなカギを握りそうだ。
東農大二戦では7回途中で被安打7、奪三振10、失点1と堂々たる投球。最速147キロ右腕が先発の役割を果たしたように見せたが、島田監督の評価は厳しい。
「最初から最後までしっかりと腕を振る中でペース配分が出来るといいのですが、それがまだできないんです。だから5回に無死満塁を招いたと思うんです。勉強しながら覚えて欲しいですが、先発としてはまだまだかなと感じています」
投げていた大川自身も5回の投球については「自分で招いたミスでしたので、『抑えないといけない』と思っていましたが、全体的に甘くなってしました」と反省。また全体を通じても「気持ちを入れて過ぎてしまい力みが生まれたことで、ボール先行や失投が増えている」と大川は自身の投球を分析する。
島田監督も大川のメンタルの部分については「1番を守ろうと必死になって前しか見えていないです。もう少し視野を広くして余裕を持って投げて欲しいと思います」とコメント。入れ込み過ぎてしまうところを指摘。しかしそうなってしまう理由は2つある。
1つはWエースとして選抜に導いた秋本の姿はベンチにないのだ。
県大会でも不調気味でもあった秋本を見て島田監督は「疲れもありましたし、ベンチいれば使いたくなってしまう」ということで、メンバーから外した。それを受けて「全員で投げていかないといけないので」と総力戦で花咲徳栄打線を封じるべく、東農大二戦では勝利まであとアウト1つで2番手・時岡 秀輔を登板させて状態を確認したほどだ。この状況になり、大川のなかでは「これまでは2人で投げてきたので、ここは自分に任されていた」と責任感を強くもってマウンドに上がっているのだ。
そしてもう1つが、思い描くエース像だ。
「大川に『エースとは何だ』と聞いたら、『任されるのがエースです』と答えるんです。私もそうだと思っているんですけど、大川の場合は視野が狭くなってしまうので、そこは勉強してほしいと思います」
大川も「流れを持ってくる、チームを活気づける投球を出来るように意識しています」とコメントし、日ごろの練習からも練習メニューを増やすなど意識的に立ち振る舞いも変えているそうだ。そこまでの強い想いがあるからこそ、気持ちも入れ込み過ぎているところもあるだろう。しかし、これを経験に変えて1つずつレベルアップしていけば、大川も投手として一皮むけることが出来るはずだ。
強力・花咲徳栄打線を前にどういった投球を見せてくれるのか。非常に楽しみである。
(記事:田中 裕毅)